デキる人が「企画書を作るとき」欠かさずやること

いずれにしても、書き出されたものを自分と切り離して、そのアウトプットがより良いものになるように改善ポイントを見つけ出すことは、思考を深めるための重要なテクニックです。加えて、誰かに指摘されたことを「指摘された具体的な内容」だけではなく、「その指摘に至った理由」、すなわち「その人の発想や着眼点」まで踏み込んで理解しておくことができると、自分の中に優秀なレビュアー人格を持つことができます。

客観的に物事を見ると言ったところで、普段の自分と同じ態度だけで取り組んでいては、物事の切り口が単調になってしまいます。「あの人ならこういうことを言いそうだ」「あの人ならこういう整理をするだろう」といった視点を提供してくれる人格を持つことは、思考を深めていくための有用なコツの1つです。

自分のメモを音読する

さて、客観視することの有用性はご理解いただけたことかと思うのですが、とはいえ、最初のうちはどう取り組んだら良いか悩ましいことかと思います。では、具体的にどういう工夫をすれば、自分のメモを客観的に眺めることができるのでしょうか。

私がおすすめしたいのは「音読」です。声に出して読む。これです。

多くの人は「黙読」で済ませます。文章や単語を目で追って、しっかり問題なく読めていると感じ、そして、論理的矛盾はないという結論に至ります。しかし、実際には思考をうまく表現できていない、論理的に整理できていない、という状況に陥ってしまいがちです。

それが発覚するのは、実際に、ほかの誰かに考えを説明しようとしたときです。それでは遅いのです。その手前の段階で、自力で考えの穴を潰し込んでおくべきです。

そこで「音読」です。

文章の場合は、最初から最後まで通して読んでみましょう。意味の通った文章は、ストレスなく読めます。「何かつっかえるな」「わかりにくいな」と感じたら、そこには何かおかしな表現が紛れ込んでいます。目で見た文章を、脳を通して口から出す。そして、その音を耳から聞いて、再度、脳に戻して理解する。このサイクルです。

音読しようとすると、目の前の文章の一言一句を理解しようと努めます。そして、それが耳から聞こえてくると、完全に自分とは切り離された客観的な情報として、その内容を捉えるようになります。

英語学習の練習法として「シャドーイング(shadowing)」というものがあります。英語を聞きながら、聞こえたままを発音してみる、という手法です。うまく聞き取れていないと同じことは言えませんから、自分がどの程度聞き取れているかを自覚することができます。また、同時に期待される効果として「聞き取ることに注力する」という意識が磨かれます。

音読で目指すところもそれと非常に近く、「読むことに注力する」「読めているかどうかを自覚する」ということがゴールです。

読んでいる文章が正しくない可能性に目を向ける

ただ、シャドーイングの場合は、聞いている英語は常に正しいという前提で取り組みますが、音読の場合は、読んでいる文章が正しくない可能性に目を向けましょう。読んでいる文章の意味が通らない場合は、それをどう直していくかを考えていくわけです。

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図の場合は、単語を音読するのみならず、その構造について声に出して説明してみましょう。そのアウトプットを、初めて会う誰かに説明しようとしたときに、あなたはどのような表現で、どの順番で説明するのでしょう。

必ずしも、「完成したものを説明する」と捉えなくてもかまいません。誰かに相談する、誰かと議論するという前提で、「自分は、このように考えている」「このあたりに悩んでいる」「ここについてはどう思うか」などを誰かに話す“つもり”で説明を試みましょう。

そういう相談をするためには、「自分がどの程度の深さで考えたのか」「そのときに置いている前提は何か」「どういう論理構造でここにたどり着いたのか」を言語化しておく必要があります。

ここが、まさに「思考の深さ」の現れるところです。