学びを「活かせる人」「そうでもない人」の大きな差

とりあえず勉強してみたら、そのスキルが身についたという人もいるかもしれません。目的がはっきりしないから興味を持った何かをやってみることそれ自体は、否定することではありません。ただ、より確実に、効率的にスキルを身につけるなら、「目的」をもって学ぶことをおすすめします。

学び方を学ぶ

学ぶことが増えてくると、重要になるのは、「自分にとって効果的で効率的な学び方を知っているかどうか」です。

多くの方が外国語の習得で苦労している中、3カ国語を流暢に操る人がいます。事実、1つの外国語を習得した人は、2つ目の外国語の習得が早いという説があります。もちろん言語間の類似性が高かったなどの要因もあるでしょうが、それ以外にも外国語を習得する「コツを知っている」ことが考えられます。だから、新しい言語の習得も早いのだと思います。それが「学び方を学ぶ」ということです。学んでいく過程で大切なのは、「自分はこういうふうに学ぶと理解できる」と感じ、「学んだ内容を理解して、自分のものにできる方法を再現できるかどうかです。

学び方は、人それぞれですが、着実に成果を上げていく人の特徴を5つの学びのサイクルでまとめたものが以下の図になります。

グラフ
出所:『読めば3年後の未来に先回りができる 入社1年目からの「働き方」』

①キャリアを考え、何を学ぶのかを見定める、②インプットする、③次のために振り返る、④アウトプットする、⑤フィードバックを受ける。このサイクルを意識的に回していくことが重要なのです。

アウトプット前提でインプットする

上記の図をもとに学び方の例を見ていきましょう。

キャリアを考え、何を学ぶかを考えることが前提の①となり、それに関連する情報をWebなどで調べ書籍を読む、セミナーに参加するなどのインプットが②になります。

そして、自分の頭の中で整理しながらノートに書いて振り返ることは、学生時代からなじみがある方法の1つです。これは③に該当します。

さらにそのことについて誰かとディスカッションする。また、人前でプレゼンテーションをするという方法は④のアウトプットにつながります。ディスカッションやプレゼンテーションをすると、聞いている相手から質問を受けたり、問題点を指摘されたりします。受けた質問に答えたり、指摘された部分を考え直したりしていく間に、自分の理解が深まっていくのです。これは、アウトプットを実践することで⑤のフィードバックを得ていることになります。

これらの学び方に共通していることは、インプットとアウトプットの両方を行っているということです。インプット、つまり情報を獲得することだけで満足していると、頭にしっかりと定着しません。

今日では、さまざまなスクール、書籍、DVD付きの教材、動画、音声メディアなど、学ぶ方法がたくさんあります。しかしよく耳にするのは、「たくさん本を読み、繰り返し動画を見たのですが、力がついた気がしません」という声です。そういう方々は、インプット型の勉強だけをしている場合が多いのではないでしょうか。「誰でもわかる」「すぐに理解できる」といったタイトルの入門書は、読むだけで何となくわかったような気がするものです。

また、動画も視覚から入ってくるので、わかった気になりやすいでしょう。ですが、どちらも翌日には大半を忘れてしまうでしょう。それは、情報はインプットしただけでは忘却曲線をたどって忘れていくからです。これに抗うために、学ぶときには必ずアウトプットすることを前提に置くことを心がけましょう。このことは、何も特別なことではありません。学生時代も、授業を聞いたり教科書を読んだりするだけではなく、レポートを書く、発表するなどのアウトプットをしてきたはずです。