「休んでもやることがない」人が実は抱える問題

リモートワークだとしても過重労働がおこりうる、むしろ業種によってはより生じやすいことにも注意が必要です。

自分や家族の病気、あるいは冠婚葬祭など、「何かの用事のために」とっておかなくても柔軟に休める仕組みは、出勤が前提のエッセンシャルな仕事では簡単ではないですが、コロナ禍以降、それ以外の職種のかたにとっては、かつてよりも調整しやすくなっているのではないでしょうか。

最後の「休んでもすることがない」という理由については、取得した有給休暇を「自分のための休み」という、オフィスワーカーにとっての貴重な充電時間にできるメリットに目を向けてみてください。予定のない1日、すべて自分がコントロールできる他人から干渉されずに自由に過ごせる「お休み」は、終わりのないデジタルワークでヘトヘトの心と身体を癒やしてくれます。

まずは午後の半休から試してみてもいいでしょう。

もう何カ月も判で押したような毎日で大した楽しみもなく、ろくな気晴らしもしていない、という人はいないでしょうか。例えば、旅行というのは、衣食住のように絶対になければ生きていけないものではありませんが、コロナ禍を経て、旅行のありがたみを痛感している人も多いと思います。

一方で、コロナ禍による自粛期間中は、移動や外出の自由が制限されたことで、新しい趣味にチャレンジした人も多かったようです。スポーツ選手やタレントの方で、自粛中に楽器を始めてみた、久しぶりに読書に励んでいる、といった発信もしばしば目にしました。

「楽しみ」「気晴らし」は、健康やお金などとは違って、不要不急ではないと思いがちです。しかしこれらは、心身の健康のためには「必要」で「なくてはならないもの」なのです。

「楽しみ」「気晴らし」が思い浮かばない人は…

未来が不透明な今、社会情勢が今後どうなるかは誰にもわかりません。だからこそ、自分の仕事や健康状態、なにより年齢を経ても続けることができる、その人の今にとって、持続可能な「楽しみ」「気晴らし」をもつのは、大切なことです。

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では、どんなことならやりたいかな、とか、こんなことを始めたら楽しいかもしれない、と考えたとき、何が思い浮かぶでしょうか。

何も浮かばない、というかたはいませんか? 「楽しい」という感情がなくなる、あるいは見つける気力がなくなった状態は、うつに入りかけているサインかもしれません。これが進行すると、「アンヘドニア」という症状に発展します。

アンヘドニアは、「快楽消失」「無快楽症」と訳されます。19世紀末に、トマス・クロウストンというイギリスの医師は、アンヘドニアがうつ病の発症時にもっとも頻繁にみられる症状であると記載しています。また、この医師は、幸福感と楽しみの喪失、喜びの欠如などを「感情麻痺」とも名付けています。

「楽しみ」や「気晴らし」を軽んじて喜びを感じられなくならないよう、1週間、1カ月といったスパンで、楽しみながら続けられることを生活のなかに取り入れていきましょう。

週末の半日散歩を近場から始めてみる、とか、美味しいランチのお店巡りを月に1~2回のペースでやってみる、など、楽しみに思えて続けられそうなプランからまずは計画してみてはいかがでしょうか。