いずれのホテルも、1平方メートル当たり1000円台後半~3000円台前半なのに対して、ブルガリ ホテル 東京は6201円と突出して高いことがわかる。
続いて、下表の「世界の主要都市のラグジュアリーホテル」で、海外の主要都市にある主なラグジュアリーホテルの、1平方メートル当たりの単価を算出してみた。
最も高いのは「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュ サンク パリ」の9137円。パリで5つ星より上の最高級クラス「パラス」ホテルである。フランス全土に31軒、パリに12軒存在するパラスの多くは歴史的な建築をそのままホテルとしていることもあり、ラグジュアリーホテルとしては部屋がそれほど広くないことも多い。フォーシーズンズ ホテル ジョルジュもクラシカルな建築だ。
パリやロンドンの伝統と格式があるホテルは、ホテルそのもののブランド価値が高く、部屋の広さなどハード面をそれほど重視しないゲストも一定数存在する。こうした歴史的なクラシカルホテルは世界的に見ると、例外的な存在である。
近年、物価高に見舞われているアメリカに目を向けてみると、ニューヨークの「アマン ニューヨーク」は最も安い部屋の面積が72平方メートルもある。1平方メートル当たりの単価は5297円と、前出のフォーシーズンズ ホテル ジョルジュやロンドンの「ザ リッツ ロンドン」などと比べても低くなる。
アジアはどうか。ドバイを含むアジア、オセアニア、ハワイの主要ラグジュアリーホテルは、1平方メートル当たりの単価が1000円台~3000円台前半となった。
つまりブルガリ ホテル 東京は、パリやロンドンなど一部の歴史的ホテルを除くと、世界トップ級の単価であることがうかがえる。
今後、日本各地でラグジュアリーホテルの開業ラッシュとなる。この背景としては、2016年に国土交通省が開発計画にホテルを盛り込めば容積率を大幅に緩和するとの通知を出したことが挙げられる。最新の複合ビルなどに入るホテルは一般に客室が少なく、高い客室単価を維持できる側面もある。
今後注目したいのは、ブルガリ ホテル 東京に匹敵するホテルが現れるか。最右翼は東京駅日本橋口に2028年開業予定の「ドーチェスター・コレクション」(ホテル名称未定)だろう。ブルネイ投資庁所有のホテルグループに属する同ホテルは、三菱地所などが手がけ日本一の高さとなる複合ビル「トーチタワー」(2027年度竣工)の53~58階に入る予定だ。
デベロッパーの2強である三井不動産と三菱地所というライバルの構図がそのまま、日本を代表するホテルを決める頂上決戦の図式になるかもしれない。