「決断力が足りない人」は簡単なコツで変えられる

「すぐやる人」になるためのコツとは?(写真:yoshan/PIXTA)
タイパ(タイム・パフォーマンス)という言葉が流行するなど、何をするにも「効率」が求められる昨今。そのような世相のなか、「わかっているけど、行動に移れない」「先送りグセがある」などといった悩みを抱え、息苦しさを感じている人も多いのではないでしょうか。では、どのようにすれば、すぐに動けるようになるのか? 
「すぐにやれないのは、脳の準備不足が原因です」と話すのは、医学博士で「脳の学校」代表の加藤俊徳さん。『1万人を診た脳内科医がすすめる すごい行動力』を刊行した加藤さんに、「すぐやる人」になるためのコツを聞きました。

比較や選択をする機会を増やすだけでいい

脳には100個を超える神経細胞があり、運動に関する細胞、聴覚に関する細胞、記憶に関する細胞など、同じ働きをする細胞同士が特定の部位に集まり基地を形成しています。

その脳神経の集団がある基地のことを私は「脳番地」と読んでいます。脳全体を地図に見立てて、脳の役割ごとに番地を割り振ったということです。

細かく分類すると120以上あるのですが、大きくは8つに分類されます。

(出所:『1万人を診た脳内科医がすすめる すごい行動力』)

前頭葉にある思考系脳番地は「考える」こと、つまり想像する、比較する、情報を選択する、決断を下す、挑戦する意欲を高める、といった時に働く脳番地です。

8つある脳番地の中では、運動系に次いで「すぐ動ける」かどうかに関係しています。カラダを動かす際には、どう動かすか、どっちに進むかといったことをアタマの中でまず選択しなければなりません。

そのうえで「よし、動こう」と決断して、初めてカラダが動くことになります。つまり、実際に動くまでには

●選択・意思決定する
●やる気を出す

といったプロセスがあり、このプロセスに思考系脳番地が関与しているわけです。

また、一度始めたチャレンジに対して、あきらめずに最後まで続けるという持続力を持たせるのも思考系脳番地です。

この思考系脳番地の働きが弱いと、グズグズと優柔不断で決断できない、モチベーションが高まらない……結果としてアタマが真っ白になって思考停止し、動けなくなるし、動き出しても止まってしまうのです。

思考系脳番地の働きをよくするために効果的なエクササイズは、日常のさまざまな場面で、比較や選択、決断をする機会を増やすことです。

また、思考系脳番地がスムーズに動けるように、思考を邪魔するものを排除するといった工夫も有効です。

やるべきことをやった時に、自分に対してご褒美をあげるというのも、モチベーションを持続させる方法です。

では、具体的なエクササイズを説明していきましょう。

脳番地エクササイズ1:着なくなった服を捨てる

思考系脳番地が強く、「すぐ動く」ができる人は、判断力や決断力があり、それが実行力につながっています。そのため、普段の生活の中でも決断が得意です。

たとえば、「いるもの」「いらないもの」に分けるという判断を常に行っているため、モノを片づけたり捨てたりするのが上手で、家の中が整理整頓されています。

反対に、思考系脳番地が弱い人は決断ができずに、モノがどんどん増えていってしまいます。

そこで判断力や決断力を高めるために、判断・決断する機会をあえてつくってみましょう。

それが「着なくなった服をひとつだけ捨てる」というエクササイズです。

クローゼットにはたいてい、いらない服やもう着なくなった服がいくつか入ってるはずです。

優柔不断な人が、そんなクローゼットの中から捨てるものを全部選び出して、完璧に整理整頓するのはハードルが高いかもしれません。