単純に考え誰も気づかない発想閃く人が最強の訳

ビジネスウーマン
問題解決の「勝率」を上げる2系統のシンプルな考え方とは?(写真:rainmaker/PIXTA)
停滞を続ける日本経済に追い打ちをかけた、コロナ禍。その影響で、仕事で求められる能力は大きく変わりました。いつ自分の勤める会社が倒産しても外資系に買収されてもおかしくない時代。終身雇用のキャリアモデルは既に終焉に向かいつつあります。
そんな時代だからこそ「将来の不安を乗り越えるために「個の力」を今から磨こう」と語るのは戦略コンサルタントの山本大平氏。新著『独立思考――組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す』から一部を抜粋・再構成のうえ、「自分の頭でアイデアを考えて行動に移す思考法」を全5回連載でご紹介します。第3回は、問題の本質を見抜くために必要な「思考のシンプルさ」に着目。
 

「シンプルに考える」ことで糸口が見えてくる

組織や慣習に縛られることなく、自分の頭で考え、問題の本質をとらえるには何が必要でしょうか?

私が日ごろから意識している「思考の原則」の一つに「シンプルに!」があります。

物事を難しく考えすぎるあまり、真に問われていることを見失い、かえって答えにたどり着けないことはないでしょうか。

深く考えすぎてしまう背景として、私たちが生きる現代社会が情報過多になったことが挙げられます。いつでもどこでもネットにアクセスできるスマートフォンの爆発的な普及などにより、現代人が1日に接触する情報量は「江戸時代の1年分」「平安時代の一生分」とも言われています。加えて、IT技術の進歩によって、情報伝達のスピードは格段に速くなりました。

しかし、そんな情報過多な時代だからこそ、情報をシンプルに読み込む力と、切り口をシンプルに見つける力の重要性は増しているといえます。雑多な情報にとらわれず、物事をシンプルにとらえることで、結果として最短ルートで正解にたどり着けることが往々にしてあるのです。

ここで1つ、問題を出します。

<ここに同じ形をした同じ色の見た目では見分けがつかない12個のボールと、1台の天秤があるとします。そして、12個のボールの中には、1つだけ、重さが異なるボールがあるとします。
この天秤を3回まで使って良いと使用回数が限定される場合に、天秤を使ってその重さの異なる1つのボールを特定することはできるでしょうか?
また、特定できる場合は、どうやって特定するのか、その方法も説明してください>
 

この問題は、小学生でも理解可能で、取り組める問題です。しかしながら、この問題を解くには、情報を正しくシンプルに読み込む力と切り口をシンプルに見つける力が求められます。さらに言うと、シンプルな思考の整理力も求められます。頭の中がシンプルな方しか素早く解けない問題です。

みなさんは解けましたか? もしかして、今、頭の中で6個と6個を天秤に置いてたりしませんか? もしそうされたのなら、既にシンプルさが欠如して認知バイアスがかかっている可能性が高いです。

1つだけ言っておくとその特定すべきボールが「重い」とは言ってませんから。「重さが異なる」としか言っていないので、12個のボールを6個・6個に分ければ、天秤は必ず傾きますよね。ちなみに、この問題を出すと約半数くらいの方々は「出来ました!」とこの6:6パターンで始めた答えを説明しようとしてくれます。

解き方を解説しましょう。

<解き方としては、天秤の「釣り合う」という特徴に注目します。天秤に載せていないボールの重さも考慮に入れて、結果の場合分けをして、必要な手順を省いていくわけです。
具体的には、ボールを4つずつ、ABCの任意の3つのグループに分け、AとBを比較します。釣り合えば、Cに重さの異なるボールがあるので、あと2回地道に比べれば見つけ出せます。