永遠に仕事できない「応用力がない人」共通4大NG

そのため、仕事の「個別性」が高まっているにもかかわらず、対応する社員の「応用力」がついていっていないのです。

【NG 2】物事に対しての「問題意識」が乏しい

たとえば、人事組織やマネジメントに関わる仕事をしてきた方々は、

「日本企業はなぜ年功序列の『メンバーシップ型』になり、欧米の企業はなぜ『ジョブ型』になったのか」
「そもそも、人はなぜ勤勉に働くのか。資本主義やテクノロジーの発達は、人と人との関係をどのように変えてきて、これから先はどうなるのか」


というような疑問を抱いたことはないでしょうか。

世の中にはこうした「本質的課題」が数多くあり、それぞれについて「答え」を出すのはそう容易ではありません

大切なのは、「答え」を見つけることよりも、「問題意識」を持って自問自答を続けることです。

「問題意識」を継続させながら、主体的に学んでいくと、自分の中に「引き出し」の数が増えていきます。

それらがある時、「異質なもの同士」が結びつき、「普遍的な意味合い」がひらめくような「応用力」につながっていくのです。

しかし、「問題意識」が乏しいと自問自答も少なく、自分にプラスになる新しい「引き出し」もなかなか増えません。「問題意識」が乏しいと、「応用力」も乏しいままなのです。

3つめは「正解ばかりにこだわる『正解主義』」です。

【NG 3】正解ばかりにこだわる「正解主義」

環境変化によりビジネスモデルが大きく変化し、「個別性」の高いソリューションビジネスが重要になってくると、第一線で顧客の抱える課題を掘り起こし、その都度、「解」を導き出し、そのために「何をしなければならないか」を明示していかなければなりません。

「正解のある問題」について正解を導く「正解主義」ではなく、「正解のない事象」について、その都度、「私はこう思う」と自分の考えを明確にし、発信していく「自論」の力をつけることで「応用力」はどんどん身についていきます

しかし、日本の学校では、「この問題はこれが正解である」という「正解主義の教育」が行われてきました。「正解のない問題」に対し「自論」を導き出す能力がないまま成人しても、いままでの企業のピラミッド組織では、とくに問題がなかったからです。

このように、正解ばかりにこだわった「正解主義」で、それ以上のことに関心がないままの人は、いつまでたっても「応用力」は身につかないのです。

「経験からの学び」は大切だけど…注意点は?

【NG 4】「自分の視点だけ」で物事を決める

個別具体的な経験からの学びは大切ですが、「過度な一般化」により、「歪んだ認知」が形成され、それが個別具体の事例により再強化されることがあります。「過度な一般化」による歪んだ認知の再強化プロセスを、認知心理学で「認知バイアス」と呼びます。

「自分の考え」「仮説に合う都合のいい情報」「自分の思い込み」を正当化する情報を無意識に集め、記憶すると同時に、「異なる情報」は無意識に排除したり、軽視したりする。これが繰り返されることにより、歪んだ認知が再強化されていくのが「認知バイアス」です。

端的な例をあげれば、男女の違いについて、男性の視点で「男はルーズだが、女性は几帳面だ」と決めつける。その男性は、自分の知っている几帳面な女性だけを見て一般化しているのです。

経験から学ぶことは必要ですが、「自分の考え」「仮説に合う都合のいい情報」「自分の思い込み」を正当化することで物事を決めてばかりの人は、「応用力」が身につかず、狭い視野のままです。

「応用力」につながる「普遍性の高い学び」をするには、つねに「仕事の背景と目的」について、自身で腹落ちさせる「習慣」を身につけることです。