「副業をしたい!」と考えがちな人が持つ大問題

将来への不安がある中、副業をすることははたしてよいことなのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)

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20代後半の会社員です。将来の不安もあり、本業である会社勤務に加え、副業的なこともいくつかやっていますが、なかなか状況が好転する兆しもなく、いつまでも将来に対する不安が消えません。
幸いに会社が副業OKなのもあり、投資や何やらいろいろとやっていますが、どれも中途半端で大きなリターンもなく、時間だけ浪費しているというのが現状です。
投資や副業というのはこれからの時代、サラリーマンにとって必須かと勝手に考えてますが、どうしたら良い副業や投資対象を探せるものなのでしょうか。すいませんがよろしくお願い申し上げます。(会社員 IT)

副業に大きなリターンを期待してはいけない

本業である勤務先の業務で結果を出し、職業人として成長することがいちばんリターンの見込める投資です。

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本業がしっかりとしていない状態での本業と関係のない副業は、たいていの場合はたんなる現実逃避です。そこに大きなリターンを期待してはいけません。

副業とは本来、本業において独り立ちできるレベルにまで達したのちに、自分の余裕の範囲の中においてやるべきものです。本業が中途半端なままでやる副業は、言い方は厳しいですが、たいしたこともできませんし、たいしたリターンも見込めません。

そもそも論として、副業が軌道に乗っているのであれば、そちらがとっくの昔に本業になっている可能性もあります。

現状に不満があり、将来が不安だからといって、「安心できるほかの何か」を探すようでは、永遠に不安感はなくならないでしょう。また、安心できるほかの何も存在しません。

そう考えますと、本業で結果が出ないからとか、つまらないからとかという理由で副業をやっても、双方ともに中途半端になるのはある意味当然です。

何かを達成したヒトが、その分野を起点に仕事や業務を多角化する。これがあるべき姿です。何も達成できないから副業に逃げるのでは、いつまで経っても人生が好転することも、人生における不安が消えることもないでしょう。

たしかに、昨今の経済不安や仕事の状況だけではなく、人生を取り巻く不透明感の高まりから、副業をしたり、投資の勉強をする、というヒトが増えています。

そして、そのこと自体は人生におけるリスクヘッジや人生に真摯に向き合っているという点で、非常に素晴らしいことだと思います。

しかしながら、優先順位を間違えてほしくはないのです。ましてや副業をすることで、すべてが解決する、といった誤った幻想を抱いてほしくはないのです。

繰り返しになりますが、副業はあくまでも「副」業であり、サブですから、本丸である人生の問題を解決する道具にはなりえないのです。

まずは不安の背景や、現状に対する不満の根源を考えるべきです。

本業でまずは結果を出すことが大切だ

ITさんが何故不安なのかというと、社会における自分の立ち位置が不安定だからではないでしょうか。もっと簡単に言うと、「自分が何者であるか」が、社会において確立されていないからではないでしょうか。

職場や社会、世間において、自分の立ち位置が不明であり、不安定であり、「他者からの評価」という観点での自分という人間の価値を見出せずにいるから不安なのです。

であれば、まずやるべきことは「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」的に、何か逆転を狙った副業探しをするよりも、本業である勤務先で結果を出し、評価される。そして社内だけではなく、転職市場における自己の評価も高める、というステップを積むことを優先する必要があります。