その後、実験の参加者たちに対し、感想を発表した人たちをいくつかの項目において評価するよう求めたところ、ユーモアのある感想を述べた人たちのほうが、「有能である」印象を与えた割合が5%高く、「自信がある」印象を与えた割合が11%高く、「地位が高い」印象を与えた割合が37%高いことがわかった。
言い換えれば、コメントの後半のふざけたフレーズによって、評価が大きく分かれたのだ。
ユーモアは他人から受ける印象を左右するだけでなく、他人に対する私たち自身の態度にも影響を及ぼす。
同じ研究において、実験の参加者たちが、その後のタスクを担当するリーダーを選んでください、と指示されたところ、ユーモアのある感想を発表した研究助手をリーダーに選んだ人たちのほうが、はるかに多かったのだ。
その決め手となったのが、あの(とくに面白くもない、スイス国旗の)ジョークだった。
ユーモアを発揮したことによって、勇気や、自信や、頭の回転の速さを感じさせ、地位が高くて有能そうな印象を与えたのだ。
ユーモアのセンス、すなわちユーモアを発揮しユーモアを解する能力があることは、知的能力測定と相関関係にあることが、研究によってたびたび明らかになっている。
研究者のダニエル・ハウリガンとケヴィン・マクドナルドのある画期的な研究では、参加者たちに次の指示をした。
まず、「もし1日だけ、ほかの動物になれるとしたら、どんな動物にはなりたくないですか? また、その理由も述べてください」というふざけた設問に対して、面白い回答をする。さらに、「その動物をとびきり面白おかしく描写してください」というのだ。
匿名の審査員たちが、参加者たちのユーモラスなプレゼンを評価した。すると、プレゼンがもっとも面白いと評価された参加者たちは、事前に行われた一般知能検査の得点が非常に高かったことがわかった。
太縁メガネをかけたり、辞書で隠しながら漫画を読んだり、家にテレビがないふりをしたりするのとはちがって、ユーモアは嘘いつわりのない知性の証だ。コメディ女優のティナ・フェイはこう語っている。「どれくらい頭がいいかは、その人がどんなことで笑うかを見ればわかる」。
(翻訳:神崎朗子)