リーダーのスキルにおいて、感情のコントロールは最大テーマの1つです。
たとえトラブルのときでも、人前で声を荒らげることによるメリットは何もありません。イライラした雰囲気を表面に表すことも避けなければなりません。
リーダーが感情をあらわにすると、まず、周りにいる人は萎縮したり、あなたの顔色ばかりうかがいはじめます。そして時がたつと反感を覚えるようになります。
元気がいいメンバーであれば萎縮せず言い返すかもしれませんが、その場合は感情のぶつけ合いになるでしょう。
冷静な議論が行われないと、結論は正しいものにはなりません。こうなるとおのずと成果も上がらず、メンバーは面従腹背をはじめます。
さらには「あの人は感情的な人だ」というレッテルを貼られ、あなた自身のリーダーシップの欠如とみなされます。威厳を保つために感情的になるという人もいるかもしれませんが、これ、大間違いです。威厳がある人がたまにやると様になるかもしれませんが、そういう人ですら繰り返すとその威厳も地に堕ちます。
威厳がない人ほど、感情的に声を荒らげる傾向があるため、「ナントカの遠吠え」という扱いを受けてしまいます。
「冷静な頭で、激高しているところを演じる」ことが可能であればやってみていただければと思いますが、私は私生活で子どもたちに協力してもらい(?)何度も試してみましたが、やはり行動と感情は双方向で影響を与え合います。
演じていると思ってもだんだん気分が盛り上がって、まさに「怒り心頭に発する」状態になり、冷静さを失ってしまいます。そして目的を達成できません。
目的達成のためには、感情を理性でコントロールし、表に出さないようにするのです。
メンバーがトラブルの一報をもってあなたのところに駆け込んできたら、まず「ありがとう」と言うようにしてください。これがあなたが現場の状況を察知するための、第1の手段です。
この手の報告は不愉快なことが普通ですし、なかには報告者本人の失敗や怠惰であったりすることもありますが、決してその場で責めてはいけません。
本人は現場で何とか問題を解決しようとしたけれど、なんともならないから報告、連絡、相談にきています。強く責められる自分を想像すると、なんとかぎりぎりまで踏ん張ろうとしてしまう。でもそうなると手遅れになるから報告にきているのです。