大手出版社が19億円請求「漫画村」の根深い問題

今後、出版大手は国内外を問わず、訴訟や削除要請などの法的措置を加速する方針だ。ただ、足元で漫画の海賊版サイト数は1000に上る。また、動画サイトやSNSでの投稿など、海賊版コンテンツのあり方は多様化しており、いたちごっこに終わりが見えない。

大手出版社をもってしても、海賊版の撲滅は難航している(記者撮影)

問題解決へ重要性を増すのが、政府を巻き込んだ国際連携だ。足元でベトナム系のサイトが増加する中、外務省が2021年の首脳会談で海賊版対策における連携認識共有を図り、警察庁はベトナム当局と捜査を推進するなど、すでに省庁をまたいだ対策が始まっている。

IT大手の助力も欠かせない。国内では検索サービス大手のヤフーが1月、海賊版サイトへの対応について有識者会議を開くなど、協力姿勢が鮮明になっている。

総務省の海賊版対策の検討会では米グーグルへのヒアリングも進んでおり、著作権法などに詳しい弁護士は「海外のIT大手にも、国を挙げて対策を求める流れになっている」と明かす。

漫画村問題が訴訟で節目にさしかかってもなお、収束のメドが立たない海賊版。官民一体の体制を整え、撲滅に向けた対策が加速するのはこれからとなりそうだ。