さらに、これまで述べた別のシーンでも、あおり/あおられ運転の可能性は高まる。追い越し車線や第2通行帯以上のへの車線変更時だ。多くは迫り来る後続車との速度差に対して自身の車線変更タイミングが遅く、これが主な要因になると推察する。後続車のドライバーからすれば、「こちらはこの速度差で迫っているのに、なぜこのタイミングで車線変更してくるのか!」という感情になるのだろう。
ここでも「後続車が飛ばしているから危ないんだ」という正論が通らないのだと、自身の感情をうまくコントロールしたい。繰り返しになるが、良くも悪くもそう自分に言い聞かせることが危険を遠ざけるからだ。
回避術はこうだ。速い後続車をやり過ごすと、連なって暴走していない限り、自車が車線変更するスペースが生まれる確率が高いから、やり過ごしてから再度、安全確認から車線変更へと連携させればいい。
一方、こうした速度差がある交通環境で追い抜き(追い越しではない)を行う後続車両は、いつ、どんなタイミングで左側から車線変更されても対応できる、そうした速度管理と心のゆとりが必要だ。
これはすごく当たり前のことで、「急に割り込んできた」とドライバーが主張する事故を解析すると速度差が大きい。つまり、高い速度域で追い抜きを行ったことが原因のひとつであることが多いのだ。
以上のことから、あおり/あおられ運転を遠ざける(回避する)には、自車周囲の交通状況を相手側に意思表示し、意思表示された側もそれを理解して、道路環境が変化するまで、双方がジッと待つことから始まる。
それでも車間距離を詰めてくる後続車はいる。その場合、前述した前方の交通環境の共有か、1車線しかない高速道路上であれば、法定かつ規制速度の上限まで速度を上げるぐらいしか、一時しのぎの手段はない。
しかし、一般道路であれば話は別だ。路肩に停車するか、左に寄ってウインカーを出しながら速度を落とし、進路を譲る(追い越しさせる)ことができる。
時にコンビニエンスストアを発見したらすかさず入り、飲み物でも買って一息ついてみるのも自身のためだ。筆者はこうした周囲との協調運転で、これまで34年間、自身が危険を感ずるような経験がない。
最終回となる次回は、2輪車、大型商用車でのあおり/あおられ運転の実情と、身を守る先進安全技術を紹介する。