人には相性がある「嫌われる」ことも受け入れよう

気持ちを暗くする2代要因の1つ「ストレス」の対処法、人との付き合い方のコツをご紹介します(写真:PanKR PIXTA/ピクスタ)
コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。
「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。
では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか。和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。今回は2回目です(1回目はこちら、2回目はこちら)。

気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「ストレス」によるものです。ストレスを溜め込まないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけておく必要があります。

手っ取り早いのは誰かに愚痴ること

バッティングセンターに行ってバットを振り回せばスカッとする人がいれば、友達とおいしいケーキを食べに出かければ気分が晴れる人もいます。何もストレス解消法がないならば、一番手っ取り早いのは誰かに愚痴をこぼして、ストレスだと思っていることをすべて吐き出してしまうことです。

自分1人では抱えきれない不満を人に話せば、気持ちが軽くなります。同じような環境の人が相手なら、共感してもらえることもあります。相手を選ぶ必要はありますが、同じ職場で働いている感覚が合う人なら、1つぐらいは共感してもらえるポイントがあるはずです。

居酒屋などで職場の同僚に愚痴をこぼしている光景に出会うと、「やれやれ、愚痴っても仕方ないだろうに……」と見下す気持ちになることもあるでしょうが、愚痴っている当人にとっては、決して悪いことばかりではありません。

自分が「どんなこと」を「どのように」悩んでいて、本当は「どうすべきなのか」など、気持ちの整理ができることもあります。愚痴を聞いてくれた相手から、何らかの解決策がもたらされたり、新しい考え方のヒントをもらえることだってあります。ストレスを溜めるくらいなら、親しい人に愚痴ってしまえばいいのです。

日本人は「人と仲よくするのは当たり前」という考え方が大前提としてありますが、それを疑ってみることもストレスの軽減に役立ちます。多くの人が「対人関係が悪いのは自分の性格が悪いからだ」とか、「努力が足りないからだ」と思いがちです。

日本人は、子どもの頃から「いじめはいけません。みんなで仲よくしましょう」と教え込まれ、「おもてなしの心」を学んで育ちます。社会に出れば「人間関係を維持する」ことを求められ、「上司との良好な主従関係」を強いられて、何がなんでも「良好な関係」を維持することに努めます。
最近では、逆に「部下と良好な関係を築けない上司は失格」という風潮が高まっていますから、誰もが「周りの人と仲よくしなければならない」という強迫観念にとらわれているのです。

残念ながら、人と人には「相性」がありますから、どんなに努力をしても、合わないものは合いません。日本人は「できれば仲よくしたい」とか、「何となく、仲よくできそうな気がする」と思いがちですが、それほど簡単なことではありません。

合わないものは合わないと認める「勇気」が必要です。無理なものは無理と「割り切る」ことも大切です。