ただし、難点がある。これらは厚生年金には加入していないことが利用する条件だ。ここが会社員にはつらいところだろう。
現実的な解として取りうるのは、同じ会社で定年後も再雇用されて嘱託社員などで働き続け、「厚生年金に加入し続けること」。会社員の場合、最長70歳になるまで厚生年金に加入でき、「経過的加算額」が老齢厚生年金に上乗せされる。
経過的加算額の計算式は、単価などかなり複雑なので、ここでは省く。端的に言えば、60歳以降に納めた厚生年金保険料は、老齢基礎年金には直接反映されないものの、その分が老齢厚生年金に加算される。基礎年金の満額年77万7800円に足りない分を埋めてくれるわけだ。
いずれにしても、現在50代の会社員は、大学時代に未加入だった国民年金(基礎年金)の足りない分について、「今さら間に合わない」などとあきらめることはない。以上のような方策を活用すれば、年金を少しでも増やすことができる。
週刊東洋経済4月23日号『年金の新常識』特集で、受給開始年齢の繰り上げ・繰り下げ問題をはじめ、さまざまな角度から年金を取り上げた。ぜひとも参考にしてほしい。