では、若者にとって理想的な上司と部下の関係とはどういうものでしょうか。それは、人生の先輩と後輩でもなければ、ましてや師匠と弟子でもありません。彼らが望んでいるのは、ずばり「仲間」です。
だから仕事の仕方も、上司や先輩の指示で盲目的に動くのではなく、いろんな人と協力しながら進める「プロジェクト型」を志向します。上司であっても、お互いに協力し合える仲間として接してほしいと願っているわけです。
「どうしていいかわからないでいる部下に対して、『自分で考えろ』とか『いちいち聞くな』とか言う上司って、ありえなくないですか」。
取材した入社3年目の藤嶋くん(仮名/24歳/IT)はこう言い切ります。仲間なんだから、どちらかが威張るのは変だし、困っている相手を助けようとしないのもおかしい。そんな上司は仲間として不適格。若者はそう判断します。
世界での累計発行部数が5億万部に届きそうな『ONE PIECE』は、「現代版聖書」といわれるくらい若者への影響力を持つコンテンツ。物語を貫くキーワードは「仲間」です。強烈な仲間意識を打ち出すリーダーの主人公ルフィは、確かに部下を第一に考えるサーバントリーダーシップの理想形といえます。
「いきなりルフィとか言われても……」。
そんな反応をされる方も多いのではとも思いますが、上下関係のベースは、やはりある程度見直したほうがよさそうです。一方で「目上の人への礼儀」まで、ないがしろにする必要はありません。礼儀や敬意に関しては、やはり大切にされて然るべき。ただし、形式だけを大事にしても全く響きません。本質的な意味合いについては、しっかり語っていく必要があるのでしょう。