東大王が語る「美しすぎるノート」を作る納得理由

東大王が提案、効率の良さを極めるノート術とは?(写真:kazuma seki/gettyimages)
2022年3月に、東京大学と人気番組『東大王』(TBS系)を卒業予定の紀野紗良さん。一見すると「天才」「次元が違う」と思われてしまう経歴の持ち主ですが、本人は勉強に関する才能は持っておらず、素質がないなりに悪戦苦闘した結果、手に入れた「効率の良さ」が最大の武器になったと語ります。
21年間生きてきた中で得た“効率の良さを極めるためのノウハウ”を詰め込んだ著書『勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる 成績が上がる学びの習慣』から、一部抜粋・再編集してお届けします。

「自分にとっての見やすさ」が良いノートの決め手

最初のうちは、板書と同じように書けないことに、ストレスを感じます。先生が黒板に長い文を書くと、「ノートの端まで来ちゃった!」などということも、ときどき起こりますね。

そこで、ノートをうまく取りたい人におすすめなのがマス目(目盛)の小さいノートを選び、心持ち字を小さくして書くことです。学年が上がるにつれ書く内容が多くなっても対応できるよう、「1マスに2文字、3文字」というふうに縮めて書くのも手です。

1マス(目盛)に何文字か入れるようにすると、ノートに書ける内容も増える/(出所)『勉強「しなきゃ」が「したい」に変わる 成績が上がる学びの習慣』(以下同)

慣れないうちは、ノートはマス目のものをおすすめします。行ごとの最初の1文字(横書きで言う左の端)を揃えられるからです。箇条書きの頭の「・」などは、揃っていないと、ノートを見返したときにストレスになります。要は、情報が整理されているかという見栄えの良さを意識してのことです。

さて、こんなふうに言うと「見栄えって必要?」と思う人もいるでしょう。確かにここは、人によって意見の分かれるポイントです。自分なりの取り方に慣れてくる中学・高校では、「自分にわかるなら汚くていいのでは?」「きれいに書くことにばかり集中して、結局頭に入らないならムダじゃない?」という意見も、しばしば聞かれるようになります。

自分にわかるなら、汚くてもOKでしょう。しかし私は、整った体裁のほうが、わかりやすいと思うのです。とくに、時間を置いてもう一度見直す場面では、きれいに書かれているほうがスムーズに頭に入ります。ですから、授業中は走り書きしたものも、のちに時間があるときに、ときどき読みやすく書き直していました。

ただし、「きれいに書くこと」はあくまで手段。本当の目的は常に「わかりやすさ」に置くことが大事です。

忙しい人こそ、ノートを丁寧に取ろう

私のノートは、情報量がかなり多いほうです。数学だけは、問題を解くことのほうが大事なのでノートの重要性は低めでしたが、他の科目では、板書から関連する情報まで盛り込んでいました。

言わば、「自分用の手づくり参考書」。ノートを取ることは「書く」というより「つくる」に近いものでした。作業量は多くなりますが、それを50分の授業時間内に済ませることを、基本ルールとしていました。

なぜそんなにハードなことをしていたのかというと、「ゆっくり勉強し直す時間がないくらい忙しかったから」です。バレエを始めとする習い事をしていたので、いろいろやりくりしても、放課後に時間をつくることはほとんど困難でした。

しかし、授業時間だけはどんなに忙しくても、50分を確保できます。ならば、その時間の密度を濃くするのが最も効率的。集中して授業を聞き、ノートを取り、考えついたことを書き留めておくと、後で読み返した際、授業を頭の中で再現できます。ノートひとつで、授業を何度でも「再生」できたら無敵ですよね。