「家賃は年収の何割がいいか」をデータで読み解く

年収の25%を賃貸の家賃に支払うなら、その35年分の金額の分譲マンションを購入することができる。今は超低金利に税制の優遇もあり、13年間はほぼゼロ金利で計算できるからだ(入居時期など条件による)。そうすると、以下の年収の人はいくらの物件が買えるかをまとめたものが以下だ。

  • 年収:400万円、年間支払額:100万円、物件価格:3500万円(233万円)
  •  年収:600万円、年間支払額:150万円、物件価格:5250万円(350万円)
  •  年収:800万円、年間支払額:200万円、物件価格:7000万円(467万円)
  •  年収:1000万円、年間支払額:250万円、物件価格:8750万円(584万円)

( )内は単身者や夫婦二人暮らしなどに需要が高い50㎡のマンションとした場合の坪単価だ。単身であっても年収600万円あれば、かなりいい立地でマンションを購入することができる。いい立地ということは資産価値が高いということだ。

坪350万円ほどのエリアでは年間1%程度しか下落しないケースが多い。そうなると、10年間で10%の下落で、物件価格5250万円のマンションは525万円の下落後の4725万円で売れることになる。諸経費(例えば、中古の売買の仲介手数料や税金等)合計で8%かかったとしても420万円なので、合計945万円(月割で7.9万円)の住居費になる。これに対して、同じ家賃を払うなら、10年間で1500万円にのぼる。555万円持ち家の方が有利ということになる。

高単価のエリアほど資産価値はもっと高いので、年収1000万円の人が購入する物件価格8750万円の立地では値下がりしない可能性が高い。そうなると、10年間住んで支払った住居費は諸経費8%の700万円だけになる。これに対して、同じ家賃を払うなら、10年間で2500万円にのぼる。1800万円持ち家の方が有利ということだ。

こうした自宅での資産形成をやっている人は多い。「住まいサーフィン」では、『分譲年別行政区別マンション中古値上がり額』(過去15年の間に分譲されたマンションの70㎡換算での値上がり額)を市区ごとに公開している。

このデータから、高級住宅地を多く抱える港区、千代田区、渋谷区の中古値上がり額が特に高いことがわかる。特に港区はいつの時代も資産性が保たれやすく、リーマンショック前の物件でも値上がり額が大きい。ついで中央区、品川区といった生活利便性の高いエリアが上位を占めた。こうした情報を基に、「値上がりする」自宅を選び、資産形成することは可能なのだ。

税制・金利面でも持ち家が有利

最も重要なことは「家賃は無駄だ」という認識を持つことだ。資産形成に有利なのは賃貸か持ち家かという議論は、マンションの場合は持ち家の圧勝と考える。以前「「家賃はもったいない」と言えるこれだけの理由」の記事の中で詳しく述べたが、賃貸の生涯住居費は持ち家の1.5倍かかると計算できる。だからこそ、家賃はなるべく払ってはいけない。年収比率は小さくあるべきだし、賃貸に住むなら持ち家に住んだ方が割安になる。

つまり、同じ金額払うなら、家賃ではなく、住宅ローンを借りた方がいいのだ。住宅ローン控除という減税制度で金利は限りなく抑えられるし、国策として持ち家政策を勧めている日本では持ち家の税制は非常に優遇されている。税制・金利などあらゆる面で持ち家は賃貸よりも有利なことくらい理解しておいた方がいい。

私の提案する結論は、家賃は年収の20%までにしよう。そして、単身であっても早いこと、持ち家取得をしよう。その際の住宅ローンの年収比率が25%なら無理がないところだ。結婚するなら、売却して2~3人用のマンションに住み替えればいい。そうすることで、住居費を抑えながら生活を豊かにすることができるのだ。