要注意!今年の確定申告で押さえたい3つの改正点

確定申告のシーズンですが、今年の変更点を確認したうえで進めましょう(写真:nonpii/PIXTA)
今年も確定申告のシーズンがやってきました。準備の前に、まず今年の変更点を確認したうえで進めるとよいでしょう。注目したい改正点は、3つです。1つ目は、申告書への押印が不要になったこと。2つ目は、住宅ローン控除に関すること、3つ目は、株式投資関係で住民税の申告不要制度の利用がカンタンになったことです。『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』から、これらの改正点について解説します。

確定申告の改正点

改正点1 今年からハンコは必要ありません

申告書への押印は、長年「義務」とされていましたが、今年からは押印不要となります。ちなみに、うっかり押してしまっても、申告書を書き直す必要はありません。そのまま提出すれば大丈夫です。

以前はハンコが押されていないと申告書を受け付けてもらえませんでしたが、これからは、押印もれで再提出、なんてことはなくなりますね。

なお、申告書への押印は不要ですが、振替納税の依頼書やダイレクト納付の利用届書などには、銀行印が必要になります。

改正点2 住宅ローン控除関係では何が変わった?

住宅ローン控除は、マイホームを新築・購入・増改築して、住宅ローンを組んだ人が受けられる税額控除(税額から引ける控除)です。会社勤めの方でも、はじめて控除を受ける年には、確定申告が必要になります。

昨年、令和3年に入居した人の場合、控除額は「年末ローン残高×1%」の算式で計算し、控除の最高額は40万円となっています。

住宅ローン控除は、経済対策などとして改正があり、下図に該当する場合に、控除期間が13年となります(通常は10年)。マイホームを新築した場合と分譲・中古住宅・増改築の場合で、対象となる契約時期が異なりますので、気をつけましょう。

マイホームを新築したときは、令和2年10月1日~令和3年9月30日までの契約であること、分譲・中古住宅を購入したり、増改築をしたときは、令和2年12月1日~令和3年11月30日までの契約であることが条件になっています。

令和4年12月31日の入居まで適用されます。

また、床面積が40㎡以上(従来は50㎡以上)の住宅が、住宅ローン控除の対象になりました。この場合、本人の合計所得が1,000万円(従来3,000万円)を超える年は、控除が受けられませんので、ご注意ください。

参考までに、今回の改正も含めた住宅ローン控除の全体像をまとめると次の図のようになります。

住民税の申告不要制度のメリット

改正点3 住民税の申告不要制度(株式投資関係)改正

住民税の申告不要制度は、上場株式等の配当等・譲渡所得に認められているもので、メリットが多くあります。この制度の利用申し込みが、今回からカンタンになりました。

①配当所得がある人は?

上場企業等の配当所得は申告不要とされていますが、課税所得695万円以下の人は、確定申告をしたほうが有利です(下表①)。このとき、住民税の申告不要制度をあわせて利用すると、さらに有利となります(下表②)。

課税所得が900万円以下の方は、住民税の申告不要制度を利用した場合に、申告が有利となります(下表②)。

このように、住民税の申告不要制度にはメリットがありますが、この制度を利用するには、従来、住民税の納税通知書が送達される日(6月ころ)までに、市区町村で専用の用紙を入手して、市区町村への申告が必要でした。

しかし、今年からは、申告書A第二表の「〇住民税に関する事項」の「特定配当等の全部の申告不要に「〇(マル)」をつけるだけで、利用を申し込めるようになりました。