セロトニンは、交感神経を刺激する作用があるため、体と脳を活性化し、分泌された14~16時間後に、睡眠を促すホルモン「メラトニン」に切り替わりスムーズに眠れます。
──雨が降っていたり、曇っていたりすると、太陽の光は少ないと思うのですが、そんなときも同じようにしているんですか?
小林:天気がどうであれ、太陽がある方に向かって、胸をはって、深い呼吸を意識しながら自然の光をしっかり浴びるようにしています。蛍光灯などの光の刺激だけでは、頭を「アクティブモード」に切り替えられないのです。
自律神経を整えるためには、呼吸を意識することがポイントになります。交感神経の働きを高めるために、深い呼吸を短く早く繰り返します。息を強く吐くことを意識しながら、10~15回ほど呼吸をすることで脳も体もスッキリします。
──頭も、体と同じように、切り替える必要があるんですね。
小林:なんだか今日は嫌だなと思っているとき、私は1分ぐらい太陽の光を浴びながら、「頑張っている自分」をイメージします。ちょっと気が重い、仕事にも行きたくない。それでも、「前を向いて頑張ろうとしている自分がいるんだ」と思い描きます。それで自分を奮い立たせるというと大げさですが、その気にさせるようなことをしています。
──雨の日はなんとなくやる気が出ません。会社に行って、やらなくてはいけないことが山ほどあるのに……。
小林:天気が悪いと、体もだるい気がする。そんなことは私もしょっちゅう感じています。でも、自律神経と天気が密接な関係にあることを知っておくと、やる気が出ないモードから抜け出せますよ。
──自律神経と天気は、関係があるんですか?
小林:体調が悪いなと思ったら、低気圧が近づいていた、なんて経験はありませんか?
──そういえば、台風が近づいているときやゲリラ豪雨が起こる前に頭が痛くなることがあります。
小林:気圧が低下すると、体内ではバランスをとるために水分が外側へと向かうのです。その結果、血管が拡張して、頭の神経を圧迫し、片頭痛が起こる人がいるのです。
──へぇ~。天気と体調が関係しているなんて知りませんでした。
小林:自律神経でもアクセルの役割を果たす交感神経は、高気圧のときは活発になり、気圧が低くなると働きが低下します。それだけ気圧の変化は、自律神経に大きな影響を与えているのです。天気以外にも、ストレスによる緊張から解放されたときなどに片頭痛が起こります。頭の片側あるいは両側が脈を打つようにズキズキ痛むのが特徴で、女性ホルモンの一種が関係しているともいわれ、女性に多くみられる頭痛です。薄暗い部屋で横になったり、こめかみを冷やして安静にしたりしてなるべく刺激を与えないことが大切です。
──雨の日は、気圧が下がっているから交感神経の働きが上がらず、リラックスモードの副交感神経が優位になっている。だから、なんとなくやる気が出ないということですか?
小林:そうですね。雨の日は、気圧が下がることで、血管が弛緩していつもよりも血圧が低下します。気分も沈みがちになってしまうのです。気圧以外にも、たとえば、気温が上がると副交感神経が活発になり、気温が下がると交感神経が活発になるというデータもあります。
──やる気が出ないのは、自分の意志が弱いからだと思っていたので、天気が悪いのが原因だと思うとちょっと気が楽です。
小林:さらに、野生動物は雨が降ると「休息モード」に入り、木の下や洞穴などでゆったり休みます。もともと、雨の日に気分が上がらないのは、動物としての本能かもしれませんね。