その中で見出したのが、ヒットを生み出すリサーチの「2つの視点」だったのです。この視点を持つことで、高確率で商品やサービスをヒットさせられる、いいスタートを切れることがわかったのです。その視点というのが以下の2つです。
視点① ターゲット:商品やサービスを買ってくれるお客さん
視点② セールスポイント:買い手(=ターゲット)の「買いたい欲求」に刺さる商品やサービスのポイント
ヒットしている商品は、適切な「ターゲット」と「セールスポイント」が明確に設定されています。一方、売れない商品は、「ターゲット」がズレているか、「セールスポイント」がズレているか、その両方がズレていることが多いことがわかりました。
だからこそ、適切な「ターゲット」「セールスポイント」を明確にするためのリサーチ手法を突き詰めたのです。そして、「ターゲット」「セールスポイント」を明確にするためのフレームワークを開発するに至りました。
次図が、「ターゲット」と「セールスポイント」を明確にするリサーチのフレームワークです。
まず、Step1で「なんとなくの感覚」で構わないので、「ターゲット」と「セールスポイント」がどのようなものか「仮説」を出します。仮説がない情報収集は無駄打ちになります。ここで出した仮説から、リサーチによって「明らかにしたいこと」を設定し、リサーチの「手段」を決めていきます。
次に、Step2のようなサイクルで、その仮説を検証・ブラッシュアップします。具体的には、商品やサービスに関わる「最新の情報」に絞って調べます。職場の机でパソコンを開いたりして調べる「デスクリサーチ」、実際に商品が並べられている現場に赴いたりサービスを体験したりする「フィールドワーク」があります。これは1人でもできるリサーチです。
ここで得られた情報を使って、「ターゲット」と「セールスポイント」にズレがないかを検証します。例えば、ある食品において「ターゲットは30~40代女性」と仮説を立てていたけど、調べてみたところ「本当のターゲットは20代女性かもしれない」のように、仮説をブラッシュアップします。
その後に、今度は多様な人に話を聞きます。これは、「ターゲット」に該当しそうな人にインタビューやアンケート調査を行います。ここでは主に、「どこがターゲットに刺さるポイントか?」を検証します。
例えば、「美容に良い」と仮説を立てていたけど、調査をするうちに、「免疫力が高まることのほうが刺さるポイントかも!」のように仮説をブラッシュアップしていくのです。
最後に、Step3で、その仮説を「打ち手」として実行に移すのです。
このフレームワークに沿ってリサーチを行うことで、「なんとなくの感覚」から生まれた「ターゲット」「セールスポイント」がどんどん明確になり、その結果、ヒットを量産できるようになるのです。
このようなリサーチができるようになってからというもの、商品やサービスをヒットさせられる提案ができるようになりました。例えば、益若つばささんがプロデュースしている老舗化粧品メーカーコージー本舗さんのブランド「DOLLY WINK」が2019年に発売した「10秒マツエク」(新・部分用つけまつげ「EASY LASH」)は通常8万個売れたらヒットと言われる中、発売1カ月で30万個の売上を記録しました。
ビジネスで成果を上げることを最優先に考え、フレームワークに沿って調べさえすれば、正しい「ターゲット」「セールスポイント」を設定することができます。ド文系でエクセルすら使えなかった私でも、ヒットを生み出すリサーチ技術を身につけることができたのです。つまり、誰でもビジネスを成功させるためのリサーチ技術は習得できるはずです。
たかが「調べ方」かもしれません。ただ、その「調べ方」が上達するだけで、「ターゲット」「セールスポイント」を明確にすることができます。その結果、商品やサービスの本来の価値を、届けたい人に伝えられるようになるのです。それって、素晴らしいことではないでしょうか?
ぜひ、「調べ方」を磨き、あなたの商品やサービスを、本当に必要としている人に届けてください。