Netflix新作に「こんまり夫婦」登場の深い意味

近藤麻理恵さんが贈るNetflixの新しい劇的改造シリーズ『KonMari ~"もっと"人生がときめく片づけの魔法~』が8月31日から全世界配信された(写真:Netflix)
Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

こんまり自宅の撮影シーンからスタート

コロナ禍をきっかけに働き方を見直している人に必見。8月31日に全世界配信された、片づけコンサルタントの「こんまり」こと近藤麻理恵さんのNetflix 新シリーズ『KonMari ~"もっと"人生がときめく片づけの魔法~』は家から飛び出し、職場や地域コミュニティが「ときめく片づけ」の新たな舞台。今、なぜ仕事人生を片づける必要があるのか? そんなことを問いかけています。

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大ヒットした前作『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法』が全世界配信されてから約2年半の時を経て、Netflixシリーズに戻ってきた新作はそう、仕事にフォーカスしていることから明らかに前作との違いがいくつかあります。“シーズン2”ではなく、タイトルに“もっと”を加え、スピンオフ的なシリーズであると捉えていいでしょう。

番組の冒頭、「わたし自身が経験したことのない新しいプロジェクトに挑戦したいと思います!」と、近藤麻理恵さんが話す撮影場所はアメリカの自宅。“こんまり夫”の川原卓巳さんとお子さんたちも登場するシーンから始まります。前作にはなかった演出です。自宅で家族総出のインパクトある掴みに人気シリーズの余裕すら感じます。

“こんまり夫”の川原卓巳(写真左)さんも登場し、アメリカの自宅で近藤麻理恵さんがどのように"ときめき"を生み出しているのかを垣間見ることができる(画像:Netflixシリーズ『KonMari ~"もっと"人生がときめく片づけの魔法~』全世界独占配信中)

アメリカではこんまり流片づけ=「Kondo-ing(コンドーイング)」という動詞が一般化されたほど、大きく影響を与えた前作の流れを受けて、基本の整理整頓術は健在です。近藤麻理恵さんが今回もみっちり教えていきます。あの書類はどこ?この道具はどこに仕舞う?といった職場あるあるの悩みに対してアドバイスし、「立てて収納」するといったお決まりの「こんまりメソッド」を具体的に実践しています。そして、たびたび“こんまり夫婦”が登場します。冒頭部分だけでないことに実は深い意味があるのです。

“こんまり家族”が出演する理由を解説する前に、近藤麻理恵さんが訪れた先でどのような片づけの悩みがあったのか。その説明から始めます。今回用意されたのは3つのエピソード。1つ目の主役は栽培園を営む父と息子、2つ目はコーヒーショップを切り盛りするワーキングマザー、最後は第2の人生を歩み始め、教会で奉仕活動する女性です。

悩みはプライベートと仕事の境界線の作り方

コーヒーショップを切り盛りするワーキングマザーのジョアンナさん(写真左)が主役の回はリモートワークする人にとって整理整頓術のヒントが見つかる(画像:Netflixシリーズ『KonMari ~"もっと"人生がときめく片づけの魔法~』全世界独占配信中)

リモートワークの時間が増えた人は、2つ目のジョアンナさんの回はきっと参考になるはずです。自宅をコーヒーショップの事務所と兼ねているジョアンナさんの悩みはプライベートと仕事の境界線をうまく作れないこと。仕事の書類と子どもの描いた絵が同じ場所に積み重ねられています。子どもが小さいうちは珍しいことではありません。後で整理しようと思いつつ、雑然とした状態になりがちです。