それをサポートするには、子どもの質問にすぐに答えるのではなく、「なぜだろう?」「どうしてだろう?」と一緒に考える機会をたくさん作ることです。「自分で気づく」「自分で発見する」喜びを体験することで、主体的に考える力が身につくのです。
また、テストの点数だけで評価するのではなく、「今回頑張れたこと」「できるようになったこと」を見出せるような褒め方をします。例えば、「前回書けなかった漢字が書けるようになったね!」「問題を最後まで、きちんと読めるようになったね!」などです。大人でも、仕事でルーティンになっていると、自分では成長を感じなかったりしますが、周りの人に具体的に承認してもらえると、こんなにやったと実感できることはないでしょうか。
同じように、子どもの成長や変化を具体的に伝えていくと、子どもが自己承認できるようになり、ものごとに意欲を持ちやすくなります。そのうえで、能力に応じてほんの少し頑張れば達成できる目標を設定し、成功体験を積み重ねることが有効です。「できた!」という達成感は、「次もやってみよう!」という意欲につながります。
ここで、1つ注意したいのが、子どものやる気を奪ってしまう「アンダーマイング効果」です。これは、せっかく生まれた「内的動機づけ」に、「外的動機づけ」を加えてしまうことで、マイナスの影響を与えてしまうことを指します。
例えば、先ほどの「書けなかった漢字が書けるようになった」と褒めるのと同時に、「100点をとったらお小遣いをあげる」という提案をしてしまうことです。喜ばせたい気持ちがこのような行動に出てしまう気持ちはわかりますが、子どものやる気の動機づけが、「内的」から「外的」へ変化してしまいます。すぐに影響が出るものではありませんが、お小遣いなどの対価がなければ、モチベーションが上がりにくくなってしまうのです。
「内的動機づけ」のやる気を失わないようにするためにも、褒め方は重要です。では、どうすればよいのでしょうか。
対価を「もの」でなく、「気持ち」にすると、デメリットが最小限に抑えられるといわれています。たとえば、「よく頑張ったね」と抱きしめたり、「すごいね!」と大いに喜びを表現することです。これらは、子どものやる気を継続させるためにも効果的ですし、この行為が、親子のコミュニケーションにもつながり、親子の愛情を深めることにもつながります。
「もの」のご褒美を与えることが、すべて悪いことではありませんが、それが習慣化されることは避けることが望ましいと思います。
なかなか一筋縄ではいかないと思いますが、少しでもエッセンスを取り入れていただき、子どもが、自らの力を発揮しやすい関わり方につながればと願っています。