東大生が断言「勉強は絶対漢字から着手すべき」訳

漢字が組み合わさった熟語は、その漢字を知っていればなんとなく理解できるのです。語彙力がある人というのは、漢字力が身についている人だと言っても差し支えないのです。

だからこそ、最初に勉強するべきものは「漢字」なのです。それも、ただ漢字を覚えるのではなく、その漢字を使った複数の熟語を思い浮かべてみる勉強をするのです。

「交」という言葉を使った熟語なら、交易・交流・交換・交渉とさまざまな漢字があります。これらとの組み合わせの中で、言葉のイメージや、どんな場面で使う漢字なのかを理解していくのです。

「交」であればどれも、2人以上の人が何かをし、お互いの何かを差し出し合う時に使う言葉なのかもしれない、とイメージします。そうすれば、漢字力を高めつつ、語彙力を大きく向上させることができるのです。

ちなみに、日曜劇場『ドラゴン桜』のドラマ内では、東大専科はこの問題を解くことで語彙力を上げていました。

これは、東大輩出者数が全国トップクラスの灘中学の入試問題で頻出の問題形式です。上下左右にその漢字とリンクする漢字が書かれており、中には何が入るか、という問題ですね。真ん中が空いている独特の形から、巷では「和同開珎」なんて呼ばれています。

僕は、この問題形式こそが語彙力をつける究極の勉強法と考えています。1つの漢字だけでなく、ほかの漢字をリンクした勉強ができるからです。

意味ごとに分類できるようになる

この問題の解答は「空」です。「空」には大きく分けて3つの意味があります。

1つ目は、いわゆる「そら」。頭上に広がっている場所であるskyという意味です。天に広がる青い「青空」、夏の日差しが眩しい「夏空」がこれに当てはまりますね。

2つ目は「内容がないこと、虚しいこと」という意味です。「から」「くう」と読むとわかりやすいはずですね。ものを入れ込む空間が白いままで残っていることを指して「空白」が当てはまります。

最後は「うそ」。本来存在していないものが、本物かのように存在していることを指します。本来存在しないはずの音が聞こえてしまうから「空耳」が当てはまります。

では「空」を使った熟語・ことわざは、ほかにどのようなものがあるでしょう。雨空・空港・空母・空心・空室・空気・空間・空席・えせ者の空笑・他人の空似・泣き出しそうな空模様……。

これらは、さっきの3つの意味で分類できます。「雨空」は1つ目の意味で、「空室」は2つ目、「他人の空似」は3つ目ですね。

どうでしょう。「空」を使った漢字の語彙はもう身に付きましたよね?「えせ者の空笑」という言葉を聞いたことがなかったとしても、「3つ目の意味で、うそっぽい笑顔なんじゃないか?」と想像がつくはずです。「商人の空値」と聞いても「ああ、うその値段だな」とわかるはずです。

または、こんな問題もあります。

これの答えは「心」です。「心」を英訳するとheartやmindとなり、「外からは見えない精神的なもの」のイメージがあることがわかります。それに加えて、「大切なもの、物事の【真ん中】に来るもの」という意味もあります。「中心」なんかがそうですね。

言葉の意味がつかめれば、推測できるようになる

そこから考えると、はじめて物事に取りかかるときの【精神】の状態だから「初心」、表に出さず・自分の中に密かに抱いている精神的な思いだから「下心」、外からの刺激に応じて自分の中に下地としてある感情が揺れ動いている状態を指して「心地」、経験などを通して獲得した大切なこと・学んだことの【真ん中】を指して「心得」というふうに当てはめることができますね。

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これがわかれば、ほかの「心」を使った単語も理解できるようになります。例えば「心根」とかも、「その人の【真ん中】にあるもの」というように判断できますよね。

いかがでしょうか。このようにして語彙力をどんどん身につけていけば、本や教科書で語られていることがどんどん理解できるようになります。

勉強には、ステップがあります。難しい勉強とか難しい問題を前にして「解けない!」と嘆いていても、いつまでたっても頭は良くなりません。

しかしこのように、きちんと「語彙力」という名の基礎を積み上げるというステップを経れば、成績はグッと上がり、頭はどんどん良くなります。みなさんぜひ、まずは語彙力を高める訓練をしてもらえればと思います。