逆境も笑って乗り越える「強い心」を鍛える4秘訣

正解のない時代の生き方について解説します(写真:yongshan/PIXTA)
新型コロナウイルスの影響もあって、先行きが不透明な状態に不安を抱くビジネスパーソンが増えています。が、「正解はどこにもない。正解は自分で作るしかない」と話すのが、長きにわたって次代の経営者やリーダー育成に携わってきた伊藤羊一氏です。では正解を作るためにはどうすればよいのか。新著『FREE,FLAT,FUN これからの僕たちに必要なマインド』を上梓した伊藤氏が解説します。

正解は自分で作るしかない

現代社会はテクノロジーが急速に進化し、価値観も多様化しました。そして、さまざまな事件が起き、先が見えない社会です。とくに今回のコロナショックでは、いきなり経済活動が全世界でストップし、社会全体のシステムも個人の心理も大きくリセットされました。

それまでは、多くの人はどこかに“正解”を探して行動していた部分も強かったし、その正解は、それまでの常識やなんとなく従ってきたルールを前提にしていたように感じます。あるいは、正解は「みんながやっていること」だったかもしれません。多くの人がなんとなく大学に行き、なんとなく会社に就職する。みんながやっていたことが、同調圧力とともに正解とされてきた面もあるでしょう。

しかし、人類がうまく制御できない“見えないウイルス”との戦いとの共存を経て、多くの人が、自分の実感としてあらためて気づきはじめていると思います。「どこにも正解がない」と。

そう、正解はないのです。その正解は自分で作るしかありません。

私も自分の仕事の正解がない中で、自分で作ろうと行動しています。

例えば、大学教育。私は武蔵野大学で「アントレプレナーシップ学部」の開設準備を行い、2021年4月よりスタートしました。大学教育のあり方においても、さまざまな面で、何が正解なのか見えづらくなっていることは多いと感じます。

コロナショックを経て、授業は対面で行うのか、それともオンラインで行うのか。これまではキャンパスで授業を展開していたので、コロナショックが落ち着いたら対面授業に戻すべきという流れもあります。

一方で、ソーシャルディスタンスを取りながら授業を行うには、そもそも物理的に教室が不足するなど急には戻せない事情がある。見方を変えれば、オンラインで世界中とつながることで授業の幅が広がる可能性もあるでしょう。ならば、すべてオンラインに切り替えるかというと、大学生にとってはキャンパスライフも重要です。さまざまな要素があり、共通認識が作りづらい状況です。

それでも、1つだけはっきりしていることがあります。それは、「それでも決めて進んでいかなければならない」ということ。自分たちはいま何を考え、どうしたいのか。これまで「決めなくてもよかった正解」を、自分たちですべて決めて進んでいかなければなりません。

正しいキャリアパスはない

個人レベルで考えても、以前はなんとなくの「みんなの正解」に合わせていれば安全に生きてこられた面がありました。私自身も、30年以上前の話ですが、なんとなく受験勉強して大学へ行き、よく考えずに会社に入って働いてきました。もちろん悪いことばかりではなく、それだからこそ楽に生きられた面がありました。

しかし、そうして意思をあまり持たずに人生を生きてきて、それなりに幸せでいられたのは、せいぜいバブル崩壊前、私が社会人になった1990年ごろまでではないでしょうか。

現在は、「正しいキャリアパス」などというものはないし、何が成功で何がそうでないかもわかりません。環境もどんどん変わっています。給料は上がらず、仕事はどんどんハードになり、何も手を打たなければ労働時間も延びていきます。