腰痛気にする人ほど「痛みを感じやすい」悪循環

腰痛が起きやすいシチュエーションと言えば、天気の変化が痛みを悪化させるという話もあります。昔から、「雨が降ると古傷が痛む」とよく言われます。「膝が痛むから明日は雨が降るね」なんて、翌日の天気を当てられるおばあちゃんもいます。

天気の変化によって悪化する痛みのことを「天気痛」と呼びます。とくに、天気が崩れると慢性の痛みが悪化すると言われています。

なぜ、天気の変化が痛みを悪化させることがあるのかと言うと、これははっきりと証明されているわけではありませんが、気圧が下がると交感神経が興奮し、血管が収縮して末端の血流が悪くなり、体内の組織が酸欠状態になって痛みを引き起こす物質が発生しやすくなる、と説明されることがあります。

また、季節の変わり目に体調を崩しやすいと感じている人は多いと思いますが、季節の変わり目は気圧の変動や寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすいとも言われています。

天気と痛みの関連性はまだ仮説段階ではありますが、たとえば、こんな研究結果も出ています。京都大学が行なった研究で、関節リウマチの患者さんの延べ2万件を超える臨床データと気象庁が公表している気象データとの相関を解析したところ、気圧が低いほど関節の腫れや痛みが悪化することがわかったのです。この研究では、3日前の気圧がもっとも関係していました。

腰痛が天気のせいの可能性も

慢性的な腰痛も、同じことが考えられます。雨の日に腰が痛くなったり、天気が崩れると痛みが増したりしませんか。これまでを振り返ってそうした傾向があれば、天気の変化によって痛みの感度が上がりやすいのかもしれません。

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でも、「天気のせい」とわかるだけでも、ちょっと安心しませんか。そして、天気が崩れる痛みが増しやすいとわかったなら、対処することができます。

天気予報とともに天気痛の予報も教えてくれるウェブサイトやスマートフォン向けアプリもあります。そうしたツールも活用しつつ、天気が崩れそうな時、気圧が下がりそうな時には、こまめに体を動かして血流を良くする、好きな音楽を聴いてリラックスするなど、前向きな対策をとりましょう。

「明日は天気が悪くなるから、腰が痛くなるにちがいない」などと後ろ向きに捉えるのではなく、天気の影響を受けても大丈夫なように前もって「体を温めておこう」「リラックスするようにしよう」などと準備ができる、と前向きに捉えることが大切です。