「主治医に質問できません」「質問する雰囲気ではありません」という場合は、本来であれば主治医本人に説明してほしいところですが、もし無理であれば、看護師に聞いてみましょう。看護師は医者のそばにいて、診療を毎日見ています。患者さんの「よくある質問」には、ほとんど答えてくれることでしょう。
また、薬に関する質問なら、薬剤師が答えてくれます。「薬は食後になっていますが、ご飯を食べなかったときはどうしたらいいのですか?」「この薬の吐き気が出る副作用は何パーセントですか?」といった質問に対しても、丁寧に、時にはデータを調べて親切に答えてくれます。わからないことがあるときは、声をかけるといいでしょう。
「あなたはパニック障害です」と言われたら、パニック障害の本を1冊読んでみましょう。「あなたは糖尿病です」と言われたら、糖尿病の本を1冊読んでください。病気について書かれた本には、その病気の原因、治癒までの期間、治療の内容、生活習慣改善の方法、生活上の注意などが一通り書かれています。患者さんが抱く疑問はほとんど網羅されているので、その病気について必要な情報、知識の全体像が学べます。
では実際、どんな本を選べばよいのでしょうか。まず、できるだけ大きな書店に行ってください。そして、自分の病気について書かれている本が並んでいるコーナーに行ってみましょう。実際、手に取り、何冊かパラパラとめくってみて「いちばんわかりやすいもの」を選びましょう。ネットで注文すると、本の内容をチェックできないので、思った以上に難しい本が届き、結局読まないまま終わったりしますので、書店に足を運ぶことをおすすめします。
病気について知りたいとき、多くの人がインターネットで検索することでしょう。しかし、インターネットの情報を利用する場合は、十分な注意が必要です。
アメリカの医師グループの調査によると、「ウィキペディア(世界最大のインターネット百科事典)」で主要な疾患の記述を調べたところ、90パーセントのページに誤りが認められたそうです。ウィキペディアは、家庭用医学書の代用にはならないのです。
日本医科大学らの研究(2019年)によると、「がん治療」について紹介する約250のインターネットサイトを調べたところ、医学会の診療ガイドライン(指針)を根拠にしたものは1割程度。自由診療など科学的根拠(エビデンス)がはっきりしないものが4割にも上っています。
インターネット上の医療情報は玉石混淆で、役に立つ情報もある反面、完全な間違いも多く、そのまま信じると病気や健康を悪化させる情報も見られます。ネットの情報は安易に信用しないことです。
わからないことがあると、不安はどんどん大きくなります。必要な情報は自分から得るようにして、不安を減らしていきましょう。