リーダーの自己開示は、組織に心理的安全性をもたらす一丁目一番地なのです。
最近、組織マネジメントにおいて注目を集める「1on1」といった1対1の面談でも、上司の自己開示がスムーズな対話につながるとされていますし、読者のなかには「日々、自分から率先して自己開示している」という人も少なくないかもしれません。
しかしながら、実は、リーダーがきちんと自己開示できているかというと、やや疑問符が付きます。本人は自己開示しているつもりでも、自分をよく見せることを目的とした “自分語り”になってしまっていることがしばしば見受けられるからです。
たとえば、ある人が「ある有名大学に入ったものの、周りが優秀すぎて友達ができなかった」というエピソードを披露したとしましょう。「大学になじめなかった」という失敗談を打ち明けているようで、実はこれ、「有名大学出身である」というアピールにも聞こえますよね。
このように“相手からの褒め言葉や承認欲求の充足を主な目的”としたコミュニケーションは、自己開示ではなく、「自己提示」と呼ばれる行為です。上位管理者であるという立場から、部下から尊敬を勝ち取りたいとか評価されたいといった心理が働くのも理解はできますが、それだと「自慢している」「虚勢を張っている」と解釈されてしまうことも多々あります。
自己開示の達人として、私が水卜アナを取り上げたのはココです。私は彼女から必要以上によく見られたいという邪心をまったく感じません。彼女が組織マネジメントの観点から戦略的に自己開示しているかどうかはさておき、特筆したいのは、彼女の“ありのままに正直な”自分をさらけ出すコミュニケーションスタイルです。
“ありのままに正直に”話す自己開示のポイントは、次の3つと言われています。
もっと砕けた表現だと、「趣味」であるとか「笑える失敗談」とか「自信のないところ」とか。そういったちょっとした自己開示から始めていけばよいとされています。しかし職場という名の戦場で、日々「鎧」を着て戦ってきたビジネスパーソンには、そのちょっとしたことが、意外と難しいのかもしれません。