向いているのは、アナウンサーやインタビュアーのように、人の話を引き出すのがうまい人。例えば同じroomに日本テレビの森(圭介)さんがいると、安心感があります」
朝から晩まで、さまざまな部屋を聞き歩き、Clubhouseで魅力を爆発させる人もたくさん発見したそうだ。
「タレントさんだと、(安田大サーカスの)クロちゃんは声が映えるし、何の会話を振られてもうまく返せていて、面白いです。ボケのイメージが強いけれど、賢いし、なんでも笑いにできる。ちょっとまずそうな会話になると『それ笑えないし~!』と、明るく返して、一気に空気を変えるんです。
ビビる大木さんも毎晩のように配信していて、新たなファンを獲得している印象です。性別関係なく、かわいげがある人が生きる場だと思います」
ほかには音楽家の清塚信也さん、プロインタビュアーの吉田豪さん、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんのroomに注目しているという。
フォロワーを増やすためのコツも聞いた。モデレーター・スピーカーの立場から、みんなが知りたい話をしたり、豆知識を披露するのが大事なのだという。
「モデレーターで、トークの仕切りがうまい人はフォロワーがどんどん増えていきますね。笑いがとれると、一気にフォロワーが増える印象です。しゃべるときは、テンポや口調をその場にいる相手に合わせるのも重要かと感じます」
ファンとのやりとりを存分に楽しんでいる中野さんだが、場合によっては自衛も必要だという。
「よくも悪くも、人との距離が一気に縮まるサービスなので、ブロックや通報機能をうまく利用しながら楽しむことも大切です。これからユーザーがどんどん増えると、荒らし行為をする人も出てくると予想されます。すでに、初心者が多いroomを荒らしているユーザーがいたという話も聞きました。まずは、自分が知っている人がしゃべっているroomに入るところから始めて、その場の空気に違和感を覚えたら、すぐに退室するのがいい」
Clubhouseで積極的に発言しているうちに、ラジオ出演のオファーも来たという中野さん。
「でも、あまり最初から仕事につなげようとせず、質問されたらちょっと話すくらいがいいかな。ゴールデン街と一緒で、いきなり自分のビジネスの話をしてくる人、嫌だし怖いでしょう(笑)。SNS全般に言えますが、気遣いと場の空気を読む力が大事だと思います」
ビジネス領域のテーマに絞って発信し、活用している人はどうか。すでに4万7000人以上ものフォロワーを集めている経営者、菅原健一さんにも話を伺った。Clubhouse上では「すがけん」のニックネームで活動しており、見かけたことのある人も多いのではないだろうか。
「これまでさまざまなSNSを使ってきて、怪しげな情報商材やマウンティングもたくさん飛び交っていると感じていました。その情報をありがたがって受け取る方もいるけど、さほど有益でない、再現性がない話も多い。40代の社会人として、もう少しためになる情報を出せればと思い、Clubhouseを積極的に始めました」
経営者・マーケッターとして、ビジネス系のテーマで話す機会が多い菅原さんは、「飲み屋の感覚でしゃべるのは危険。スピーカーが気持ちよくなるよりも、聞いている人を優先したほうがいい」と語る。自分が話す際には、言葉遣いの細部にも気を配っているそうだ。
「ビジネス系のroomの中には、お客さんのことを『客』と言ったり、投資家さんを『うまく捕まえて』『(お金を)引っ張ってきて』などと、失礼な言い方をうっかりしてしまう人も。若い女性だけを“ちゃん付け”で呼ぶなど、相手に敬意が感じられないような言葉遣いをする人も一部見かけます。ご本人も損をするし、聞いている人が不快になる話し方はしないほうがいいですよね」