「部下のメンタル不調」を見抜く3つのサイン

厚生労働省の指針では、中長期的な視野に立って、継続的かつ計画的に、実態に即して作ることが推奨されています。こうして策定された「心の健康づくり計画」が、その企業におけるメンタルヘルスケアの基本的なマニュアルになります。2015年12月より義務化されたストレスチェック制度の実施も、ここに含まれます。

メンタルヘルス「4つのケア」

では、具体的にどのような形のケアがなされるのでしょうか。それが、次の「4つのケア」です。

①セルフケア
②ラインによるケア
③事業場内産業保健スタッフ等によるケア
④事業場外資源によるケア

(厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」メンタルヘルス指針 2006年3月策定)

「セルフケア」は、適応障害にかからないようにするための従業員個人によるセルフコントロールです。といっても、事業者側が何もしなくていいということではありせん。職員が不調をきたしたとき、早めに気づくことができるよう、教育研修や情報提供を積極的に行います。

「ラインによるケア」は、上長、部長、課長など、まさに職場の上司であるあなたが担います。具体的には、職場環境の改善、部下からの相談対応、職場復帰の支援などです。部下の変化にいち早く気づく指針として、次の3項目に注目してください。

①勤怠に関して
・遅刻、早退、欠席が増える
・残業、休日出勤が不釣り合いに増える
・休みの連絡がない(無断欠勤)
②仕事に関して
・仕事の能率が悪くなる
・業務の結果がなかなか出てこない
・報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいは多弁になる)
③行動に関して
・表情に活気がなく、動作にも元気がない
・ミスや事故が目立つ
・服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする

これらは、特別な知識がなくてもわかるものばかりであり、適応障害のサインととらえることができます。

部下のメンタルヘルス問題の相談先

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部下のメンタルヘルスの問題を、一人で抱え込まないことが大切だと述べました。その具体的な相談先が、前にお話しした、③「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」に属する担当者です。

「事業場内産業保健スタッフ」とは、職場内で職員の心の問題をケアする職責を担った人たちです。医務室の産業医、保健師であり、人事部門の担当者が、それに当たります。

あなたが部下の不調を認めたときには、まず、これらの人たちに相談をしてください。問題を彼らと共有することで、メンタルヘルスケアを正しい方向に進めていくことができます。

④「事業場外資源によるケア」とは、事業場外の専門の医療機関や心理の専門家が介入できるよう、その体制、窓口を作っておくことです。