「この半年、どんな不安を抱えながら、どんなふうに過ごしてきましたか?」突然ですが、本稿を読むのをちょっとだけ中断して、この半年のことを振り返ってみてください。おそらく、刻々と状況が変化する中で、
といった方も少なくないでしょう。
不安なときや考えても調べても正解にたどり着けないというとき、一度立ち止まることは大事です。でも、正解が見つかるのを待っていたり、不安が解消されるのを待っているだけでは、不安はなくならず時間だけが過ぎてしまいます。
「失敗したらどうしよう」「絶対に失敗できないから、ちゃんと正解を見つけてから行動しよう」と考えすぎてしまうと、足が止まってしまい、誰でも動けなくなります。そして、「不安だから、行動しない」という思考パターンから抜け出せず、状況待ち、指示待ち、正解待ち、条件待ちをしていると、それだけで半年、1年とあっという間に時間が過ぎてしまいます。
これからの時代は、たとえ不安でも、正解が見えなくても、ある程度の方向性を見つけて行動していくことが本当に大事です。
正解が見えなくても、先が見通せなくても、状況が刻々と変化していく中でも、仮決め仮行動・軌道修正していける力を「グレー力」と私は呼んでいます。いま必要なのは、絶対的な正解が見えなくても、仮に決めて、動ける「グレー力」です。
もしかしたら、試しに自分で行動してみて思うような結果が出ないと、「失敗した」と思って、そこで足が止まってしまう方もいるかもしれません。
実は、ちょっと行動してみて思うような結果が出ないのは、失敗ではありません。それは、行動したことで得た「成果」です。期待や予想と違った成果が出た場合は、軌道修正をすればいいだけです。
本当の失敗とは、「不安を理由に行動しない」ことです。気がついた時点で行動すれば対処できたはずの不安でも、放置すると悪化します。
そして、不安を感じているのに対処せずにスルーし続けると、さらに不安になり、思考停止、行動停止、感情停止となり、まったく動けなくなってしまいます。本当は不安を感じているのに何ら対策を取らないのは、問題を先送りしているだけです。
ですから、不安に対処するには、「不安だから、行動しない」を「不安だからこそ、まず動いてみる」に変えることです。そのためにもグレー力が必要なのです。
今、時代が激変しています。それは、2020年のことを思い出してみるだけでも実感できることでしょう。年初は東京オリンピックイヤーということで、なんとなくワクワクしていた方が多かったのではないでしょうか。