日本人が知らない世界の5大炎上事件2020年版

2020年に世界の企業が起こした炎上について語ろう(写真:Johnnyfrs/iStock)

2021年が始まった。日本でも世界でも、ずっとコロナ禍のニュース一色だ。日本では1都3県に緊急事態宣言まで出た。2020年を振り返ると、コロナ禍以外のニュースといえば、芸能人の不倫くらい。

よく、コロナ禍の中で、ほかのニュースが目立たないといわれる。たしかにそうだ。さらに、海外のニュースであれば、なおさら目立たない。ただでさえ、海外の企業ニュースは日本人が目にする機会は少ない。

炎上は続くよ、どこまでも

そこで、2020年が終わったタイミングで、日本人がほとんど知らない、海外企業の大炎上ニュースを取り上げてみたい。そして、ほかの炎上騒ぎを見ることで、自社が同じ轍を踏まないように備えることもできるかもしれない。これらは対岸の火事ではない。興味が湧いたら、ウェブで調べてみてほしい。

では私が気になった世界の炎上5つだ。

1.イケアの翻訳指示

ちょっと笑えるものから。イケアは世界展開している家具小売店として有名だ。バーレーンの店舗では、店舗の壁面に大きく「Create your perfect night’s sleep」と書いてあった。「最高の睡眠を創造しましょう」くらいの訳でいいだろうか。

そして、その下にはアラビア語が書かれている。通常であれば、「Create your perfect night’s sleep」のアラビア訳が掲示されるはずだ。しかし、実際には、そのアラビア語はデザイナーへの翻訳指示がそのまま載っていた。そのアラビア語を翻訳すれば、「同じ内容を、アラビア語」でというものだった。

その後、イケアは壁面の誤ったアラビア語を棒線で消した後に、正しいアラビア語訳文を記載した。少し微笑ましいエピソードである。

これは「IKEA Bahrain Create your perfect night’s sleep」とでも検索いただければさまざまなニュースサイトで読むことができる。イケアは意図的ではないだろうが、多くの露出を実現した。意図的ではない、と書いた。しかし、手際のよさに、もともと修正まで含めてマーケティング手法だったのではないか、と思う向きもある。

2.GAPの融和パーカ

GAPは、Twitterで「The one thing we know, is that together, we can move forward.」と書き込んだ。これは、「私たちが確信しているのは、一緒になれば前進できることだ」くらいでいいだろうか。そして、ツイートにはGAPのパーカが載っていた。パーカは、左が青色、右側が赤色だった。もちろん、これはアメリカ大統領選を意識したものだった。青=民主党、そして、トランプ氏はときに鮮やかな赤いネクタイが印象的だったように、赤=共和党を意味する。

GAPは、支持政党がどうであれ、1つのアメリカを目指すために連携を訴えたものだった。すると非難が殺到。理想としては美しいが、双方の支持者たちがすんなりと受け入れる状況にはなかった。それに、このパーカを着るのは、いらぬ騒動を引き起こすと消費者たちが想起してしまったのだろうか。

同社はこのツイートを削除しているが、これの画像は「GAP The one thing we know, is that together, we can move forward」などと検索すれば確認することができる。先日は、アメリカ議会へトランプ支持者が乱入した事件が話題になった。アメリカ史上、まれにみる事件は、社会の分断をあらためて明らかにした。さらに、1つの企業であるGAPが、融和を訴えるツイートを発するだけで、この騒ぎになることはこの分断の深さを示している。