また、朝7~8時の間、もしくは15~17時の間にランニングなど持久系のスポーツをすると、光の有無に関係なく、体内時計が朝型に調整されることを示す新たな研究もあります。
反対に、19~22時の間にランニングをすると、体内時計が後ろにずれてしまいます。運動中、体内ではストレスホルモンであるアドレナリンやコルチゾール、ドーパミンなどが分泌されます。これらのホルモンは私たちを覚醒させ、集中力を高める一方、入眠を妨げます。
さらに、運動をすると体温が上昇しますが、体温が上がると眠りにつきにくくなります。なので、体の発汗が促されるようなトレーニングは、遅くとも就寝時間の3、4時間前に終わらせるのが良いでしょう。
ただし、就寝前に熱いシャワーを浴びたり、バスタブに浸かったりして体温を上昇させるのは、睡眠を促し早く眠りにつく効果があります。
これは、シャワーや湯船で皮膚が温められることで血管が広がり、それにより熱の放射と快眠の条件である体の冷却が促進されるからです。
食事もまた、睡眠と関わりの深いファクターです。
まず、「食事時間」は、7時~19時の間に規則正しく食事を取る人は、気が向いたときに食べる人よりも、よく眠れることが立証されています。
では、眠りにいい食べ物・ダメな食べ物にはどういったものがあるのでしょうか?
肉類や脂っこい食べ物は胃に長く残るので、体は遅くまで働き続け、長く起きることを強いられます。玉ねぎや食物繊維も、腸内にガスを発生させ、腸の夜間の休息が奪われることで眠りが妨げられる可能性が指摘されています。
バターやチーズ、赤身肉などに含まれる「飽和脂肪酸」の過剰摂取は入眠を妨げ、睡眠を断片化するという調査結果があります。
反対に、入眠に役立つのが「牛乳」です。牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸が、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を促すため、入眠しやすくなるのです。
また、乳児に限れば、夕方の「母乳」にはメラトニンそのものが多く含まれていて、乳児がよく眠れるように作用すると考えられています。
メラトニンを多く含み、睡眠導入効果があるとして期待されているのが「サワーチェリー」(酸味の強いサクランボ)です。研究によれば、果汁のメラトニン濃度が高いことがわかっています。
就寝前にコップ1杯の牛乳、乳糖不耐症であればサワーチェリーのジュースを試してみてはいかがでしょうか。
前述したとおり、体温の低下は体内のすべての体内時計に、夜が始まって眠りの準備をする時間がきたことを知らせる合図となります。
体温が最も下がるのは明け方3~5時頃、私たちがよく夢を見ている時間です。その頃に体温は約36℃前後となります。体は睡眠中エネルギーを節約し、すべての器官に休息と回復の機会を与えるために、短期間ある種の冬眠状態となるのです。
この体温リズムを妨げないためにも、就寝前に寝室の温度を上げすぎないようにしましょう。冬は暖房をきつくしすぎない程度でOKです。室温とよい睡眠の質との間には関連が見られることは、研究でも確認されています。
同時に、夜間、十分な酸素量を確保することも重要です。複数の研究で、人は窓を開けたままのほうがよく眠れるという結果が出ています。寝室のドアを閉じずにおくだけでも、空気の循環が著しく改善されるので、「オープンな寝室」にトライしてぐっすり具合を確認してみてください。