「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ

ネガティブな感情を減らすにはどうすればいいのでしょうか(写真:polkadot /PIXTA)
SNSの普及で、現代社会はかつてに比べて「何が幸せなのか」、基準が曖昧になってきています。自分ではいいことだと思っていても、「この選択は間違っているのかもしれない」と不安を感じやすい世の中にもなってきています。作家・講演家・起業家プロデューサーとさまざまな肩書きを持つ星渉氏と、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司氏の共著『99.9%は幸せの素人』を一部抜粋・転載し、幸福度を高めるためのコツを紹介します。

私たちの幸福度に影響を与える感情は3つあります。

①ポジティブ感情
②ネガティブ感情
③人生満足度

3つそれぞれが影響するから、ネガティブ感情を感じる機会はできる限り少ないほうがいい。ネガティブパワー「100」よりも、ネガティブパワー「1」のように、小さいほうがいいのは明らかです。

さまざまな幸福学の研究で、ネガティブ感情は「心配事や不安」が影響することがわかっています。つまり、心配なことや不安なことが多かったり、大きかったりすると、よりネガティブになりやすいということです。

では、ここで問題です!私たちの心配事は、どのくらいの確率で実際に起きてしまうでしょうか?

A:90%以上  
B:60%以上  
C:40%以上  
D:10%以上

答えは、Dの10%以上。正確に言うと、私たちの心配事が実際に起きるのは 13%の確率でしかないのです。「降水確率13%」だったら、あなたは傘を持って出かけますか? そう、「まっ、大丈夫かっ」と傘を持たなくてもいいレベルでしか、私たちの心配事は実際には起きないのです。

ネガティブ感情は消そうとするほど大きくなる

しかも、13%の実際に起きた心配事のうち80%は「自力で解決できるもの」だと、国際認知療法学会会長のロバート・L・リーヒ博士の研究は明らかにしています。つまりは、本当に解決できない心配事が起きる確率はたった3%となるわけです。降水確率3%で傘を持って出かけますか?

そう考えるだけでも、心配事を気にしなくなりますよね。ネガティブ感情は「消す」ではなく「記録する」。不安、心配、緊張などネガティブな感情を”消そう”とする人がいますが、その考え方はNG。ネガティブな感情は消そうとすればするほど大きくなります。

ネガティブな感情を感じたら、記録を取ることが有効です。先ほど、「心配事は13%しか実際に起きない」とお伝えしましたが、そうは聞いても、やはり心配で不安に思ってしまうという人もいるでしょう。

「不安に思っていることが実際には起きない」と言われてもなお、なぜ不安に思うことをやめられないのか? それは「実際には起きないという実感がないから」です。では、なぜ実感がないのか?

それは、不安に思ったことが実際にはほとんど起きないので、不安に思ったこと自体を忘れてしまっているから、です。さらに、不安に思っていたことを忘れては、また新しい不安が襲ってくる。そして、また実際に起きなかったから忘れる。そして、また新しい不安が……ということを繰り返し、「いつも不安」な状態から抜け出せないのが、私たちなのです。

「記録を取る」ことが大切!

そこで、心配事は実際に起きないのだと「実感」するために「記録を取る」。これが「ジャーナリング」という手法です。さっそく手順を紹介しましょう!

【「ジャーナリング」を試してみましょう!】

① 心配に思うことがあったら、その心配に思うことを手帳にメモする(スマホのメモ機能などを使ってもOK)
② それを1カ月間続ける
③ 1カ月後、メモした内容(心配に思ったこと)を見返して、それが実際に起きたかどうか○×をつける
④ 心配に思ったことがどれだけ起きていないかを実感する

この4ステップを実践するだけで、客観的に心配事はそんなに実現しないのだと実感できるでしょう。余裕があれば、①の心配事をメモする際に、心配の大きさを10段階評価で書いておくとさらに効果的です。自分の感覚で構わないので「この心配レベルは、すごく心配だから8だな」「これは、そこまで心配ではないから2だな」という感じです。

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なぜこれがネガティブ感情に対して効果的なのか? その理由は、私たちがどんな心配事に対しても「心配だ」という1つの言葉でしか表現していないことにあります。

夜も眠れないくらい心配なことについても「心配だ」。いいタイミングで電車が来るか心配なときも「心配だ」。全部同じ「心配だ」で表現するので、必要以上の心配をしていることが多々あるのです。

そこで、記録を取るときに心配のレベルを記載すると、「あっ、これはそこまで心配してないんだ」と実感でき、ネガティブ感情がその場で小さくなります。ぜひ、試してみてください。