科学か?出した「友だちは数か質か」論争の正解

「幸せな友人」が自分も幸せにしてくれる

また、どのようなタイプの友人と一緒にいるかということも大切です。愛知医科大学の松永らは、「幸せな友人の存在が幸福を著しく高める」という興味深い研究結果を報告しています。幸せそうにしている人とともに時間を過ごすと、幸せをおすそ分けできるというわけです。

この調査では、被験者たちに、人生に起こりそうな出来事をいくつかあげて、それを経験したと想像してもらい、そのときに感じる幸福度を評価するように求めました。

その結果、幸せな友だちがいると、被験者の幸福度を著しく高めることがわかったのです。たしかに、幸せな友だちがまわりにいると想像すると、きっと自分も幸せになれる、自分は恵まれている、そんな気持ちが向上してきますよね。

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逆に、アメリカ国立衛生研究所のハリリらの研究によると、ネガティブな表情を見ている人とストレスが増えるそうです。

実験では、被験者に①「人の恐怖や怒りなどの表情」、②「動物や昆虫など自然界の恐ろしいもの」、③「自分に向けられた拳銃や事故、爆発など人工的な恐ろしいもの」のように、不安や恐怖をあおる画像を見せ、そのときの脳の様子を調べました。

結果、人の恐怖や怒りなどの表情を見たときだけ、恐怖や不安に深く関与する扁桃体という脳の部位が激しく反応することが分かったのです。同様に、ハワイ大学のハットフィールドらは、ネガティブな人と一緒に過ごすと、顔の表情、姿勢、さらには声の出し方や動作まで似てきてしまうことを明らかにしています。つまり、人は、他人のネガティブな言動、心の状態が伝染してくるわけです。

「幸せ」や「不幸」な気持ちは伝染する

こういったさまざまな研究から言えるのは、友だちは多いに越したことはないですが、もともとの性格として友だちの数より質で幸福感を味わえている人は、無理に広げる必要はない。そして、感情は伝染するので、どうせならハッピーな友人と一緒にいほうが、ネガティブ傾向のある友人と一緒にいるよりも自分自身の精神衛生的にはいいということです。

当たり前のことのようですが、こういった実証研究に基づいた根拠を知ることで、より自信を持って、積極的に自分の人付き合いの方向性や方針を確立していけるようになるのです。