猫を飼う人の心身が癒やされている科学的根拠

この部位は、非言語コミュニケーションや他者との関わりにおいて重要な認知機能を担っているといわれています。猫に触ったときの方が、ぬいぐるみに触ったときよりもその部位の血流が活発になっていることがわかりました。

猫というポーカーフェイスの生き物に触ることで、「このコは何を考えているのだろうか?」という思考が行われ、この領域が活性化したのではと考察されています。

さらに、他者との絆形成に関わるといわれている「オキシトシン」というホルモンの上昇も、猫群でぬいぐるみ群よりも多く見られました。

オキシトシンは、免疫機能の向上やストレスの減少などのさまざまな健康効果があるといわれているホルモンです。

猫を撫でると、いいことばかり起こるではないですか……!

これらの結果から、猫に触ることはぬいぐるみに触るよりも、精神状態を改善させ、他者とのコミュニケーションを向上させる可能性があることが示唆されました。

さらに、猫と暮らすメリットはこれだけではありません。

猫はリラックスしているとき、喉をゴロゴロと鳴らす通称「ゴロゴロ音」を発することがあります。

ゴロゴロ音に含まれる微細な振動が、人の骨の骨密度を上げることがわかっています。

骨粗鬆症となり、骨密度が減少するリスクの高い人を対象に行った調査によると、振動を与えた群と与えなかった群の間に差があり、骨密度を測定すると、振動を与えた群で増加したことがわかりました。

つまり、ゴロゴロ音に含まれるような微細な振動が骨密度の増加に寄与したのです。

また、筑波大学の研究チームは、猫のゴロゴロ音とホワイトノイズ(換気扇の音やテレビの砂嵐音のような音)を人に聞かせたときの心拍解析を行いました。

まず、実験参加者の安静時の心拍数を測定し、これを基準値とします。

その後、ヘッドフォンから再生される数字を足していく計算課題によって、ストレスをかけます。その間、心拍数はずっと計測しておきます。

そのようなストレスのかかった参加者に対し、猫のゴロゴロ音を聞かせる群、ホワイトノイズを聞かせる群を作りました。

「ゴロゴロ音」はいいことずくめ!

最後にもう一度、音聴取後に心拍数を測定し、ストレス状態が緩和されたのかを分析しました。

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その結果、音を聞いた後の心拍数は、ホワイトノイズ条件では基準値との差は見られませんでした。

それに対して、ゴロゴロ音条件では、心拍数が基準値と比較して減少していることがわかりました。

また、この減少には参加者が「猫が好きかどうか」は関係ありませんでした。

このように、ゴロゴロ音は骨に対するよい効果、リラックス効果がある可能性があり、人にとっていいことずくめの音になっています。

猫を飼育することで十分癒やされますが、さらにこんなに素晴らしいおまけがついてくるんですね。