鬼滅の刃、JR東&九州が「リアル無限列車」で競演

主要キャラクターのコスプレをしてコラボSLの前で敬礼するJR東日本の社員たち(記者撮影)©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

SLぐんまは高崎―横川間を走る「SLぐんま よこかわ」と、上越線・高崎―水上間を走る「SLぐんま みなかみ」の2タイプがある。今回のコラボはJR東日本のほかに、横川駅の名物駅弁「峠の釜めし」を製造する荻野屋、横川駅に隣接する「碓氷峠鉄道文化むら」も参加していることから、コラボ列車が運行するのは高崎―横川間のみ。

つまり、高崎―水上間においてコラボ列車は運行しないのだが、SLは走る。「鬼滅の刃のヘッドマークは付けないが、旧型客車で走るのでコラボ列車の雰囲気が味わえます」(JR東日本)。

一方、九州では、一足先に「ソニック」「かもめ」といった特急列車が鬼滅の刃のコラボ列車として走っている。

9月29日から白い特急列車885系が博多―長崎間、博多―大分間、10月12日から青い特急列車883系が博多―佐伯間を走っている。どちらも12月28日までの予定だ。

885系に描かれた鬼滅の刃のキャラクター(記者撮影)©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

885系は6両編成の各車両に主要キャラクターが大きく描かれている。883系は4~5号車にキャラクターがラッピングされている。どちらも12月まで運行する。博多駅に入線した885系の前では、多くのファンがお気に入りのキャラクターを次々とカメラに収めていた。

さらに、11月1日からは「SL人吉」号をキャンペーン仕様にした臨時列車「SL鬼滅の刃」が熊本から博多に向けて運行する。

通常は熊本―人吉間を運行するSL人吉が熊本から博多に向かって運行するのは極めて異例だ。熊本から博多へはディーゼル機関車DE10が後ろから押して運行する。なお、博多から熊本へは回送列車となり、ディーゼル機関車が前から引っ張って走行する。

鬼滅の刃と九州の縁は深い

人吉号に使われるSLは大正期に製造された8620形と呼ばれるタイプで、通常装着する「58654」というプレートに代わって、今回は劇場版に登場するSLと同じ「無限」というプレートを付けて走る。

SL人吉号の8620形は鉄道ファンの間で大人気。無限列車のモデルともいわれる(記者撮影)

劇場版公開のタイミングから少し遅れての走行は、「熊本―博多間で走行させるのが初めてであったため、社内外の調整が必要となり、最短で運行できる11月より運行開始となった」(JR九州)という。

今回の企画が持ち上がったのは今年5月。JR九州の側から製作サイドに提案したという。福岡県太宰府市にある「宝満宮竈門神社」や大分県別府市にある「八幡竈門神社」が主人公の名字の由来ではないかとファンの間で語られているほか、SL人吉で使われる8620形は無限列車のモデルだというのがファンの間での定説だ。このように鬼滅の刃と九州の関係性はいくつもある。

鬼滅の刃は2016~2020年に『週刊少年ジャンプ』で連載され、2019年のアニメ化で人気が爆発。主題歌の「紅蓮華」はその年のNHK紅白歌合戦でも歌われた。今年に入ってからも、コロナ禍による外出自粛中にネット配信で「一気見」するファンが続出、その人気がさらに広がった。

コロナ禍はまだ収束していないが、政府も「Go Toトラベル」キャンペーンで観光を後押ししている。この機会に群馬と九州、2つの「無限列車」を乗り比べしてみてはいかがだろうか。