「コロナ禍の中で評価を上げた会社」ランキング

3位はKNT-CTホールディングス傘下の旅行会社、クラブツーリズム。改善幅は1.784を記録している。ただ、職種によって大きくコメントの性質が異なっていた。特に企画職・事務職では、直近で制度が整ったフレックス制や在宅勤務制度の恩恵をうけ、働きやすい環境となっていることへの高い評価が散見された。

4位アマゾン ウェブ サービス ジャパン、5位明治、6位全日本空輸(ANA)、7位はベアリングのトップメーカーである日本精工、8位日本総合研究所、9位資生堂、10位は電通グループでデジタルマーケティングを担う電通デジタルが入っている。

ランキング全体の特徴はどうだろうか。コロナ禍でも順調に業績を伸ばす業界のほうが、改善幅が高いというわけではなかった。また実際には、どこかの業界に偏ったランキングになるといったこともない。厳しい業績ともいわれている不動産業界や旅行業界、小売業界が上位にランクインしており、単純に業績の好不調が働きがいに影響を与えているわけではなさそうだ。

では、コロナ禍でも大きく社員からの評価、すなわちe-NPSを改善した会社にはどういった特徴があるのか。

e-NPSの改善幅と前述の8つの評価スコアの変化度の相関関係をそれぞれ調べていくと、特に相関が高かったのは、「待遇面の満足度(相関係数0.558)」「人材の長期育成(相関係数0.536)」「社員の相互尊重(相関係数0.471)」となった。詳細は割愛するが、相関係数が1に近いほど相関が強いことを表している。

なぜ上記のような項目の改善が社員からの評価につながりやすいのか。このコロナ禍の間に投稿されたクチコミの一部を紹介しよう。

コロナ禍でも評価を変えない

まずは、「待遇面の満足度」に関するクチコミだ。

「コロナの影響の中でも安定した給与があり、昇給および賞与の支給もされた。仕事のできない人が勤務年数を重ねたからといって過剰に評価されることはなく、妥当な評価が実施されている」(住友生命保険、一般職員、在籍5年未満)

「年俸=ベース+RSU(株式)トータルで1250万円ほど。毎年1~2%の昇給。Amazonの人事評価の特徴は360度評価。自分の直属の上司のみならず、同僚や部下からの評価も反映されます。また昇格においても、直属の上司とは別の同僚と他部門の部門長からの推薦が必要になる」(アマゾンウェブサービスジャパン、ソリューションアーキテクト、在籍5年未満)

コロナでのリモートワークが進んで各自の仕事ぶりがわかりにくくなっている中でも、納得感の高い評価制度となっている会社では社員の満足度が高いクチコミが多くみられた。

続いて、「人材の長期育成」に関するクチコミを紹介しよう。

「研修の内容は、実務に即した製品の概念習得から、キャリア開発につながる語学研修、外部講師を招いて行う経営者育成のための研修など、質量共に豊富で、一生は学びであると考えておられる方にとっては理想的な環境といえる」(日本アイ・ビー・エム、営業、在籍10~20年目)

「海外関連の仕事に携われるチャンスが多い。人材育成にはかなり力を入れており、投資も大きい。手を挙げてアピールし、成果を出せば、それなりに自分の成長を考慮したうえで、今後のキャリアを考えてくれる」(資生堂、事務職、在籍5~10年目)

終身雇用の終焉や、メンバーシップ型からジョブ型への転換といったニュースが相次ぎ、自身のキャリアに対する意識が高まり、豊富な人材育成を用意している企業への評価が高まっていることが想定される。

最後に、『社員の相互尊重』についてのクチコミだ。

「個人を尊重し、「お前はどうしたい」と聞いてもらえ、一方的にやることを押し付けることはあまりない。目標を達成していれば、自らやりたいことは聞いてもらえ背中を押してもらえる環境」(リクルート住まいカンパニー、営業、在籍5年以内)