「なぜかいい決断ができる人」がしていること

「健全なやりかたは、まずこういう結果を手に入れたいという自分の思いを認識したら、その思い入れをいったんゆるめて、創造力を発揮して現実に即した新たな道を描くことです」とミラノ。モリーの経験を例に挙げてみましょう。

モリーは以前、クライアントに満足してもらえるか不安に思っていましたが、不安の根本には役に立ちたいという思いがあると気づきました。そこでいまは、クライアントに初めから「お役に立てるためにできることはありますか?」と問いかけることにしています。

いま感じている不安が何を意味しているのか、不安を生産的なものに転じるにはどうすればいいのか。この答えを見つけるために、ミラノは5つの問いを立てました。

1. 何が不安なのか。
2. その不安を身体のどこで感じるか。
3. そこに反映されている願望は何か。不安の裏にある願望は何か。
4. 願望に気づいたら、それに従って行動を起こすかどうか。
5. 行動するなら、どんな段階を踏んでクリエイティブなアクションを起こしていくか。

これに順番に答えていくと、恐怖心から反射的に動くのでなく、問題解決のために創造性をもって動けるようになるはずです。

後悔

後悔が最小限ですむと思う選択をしましょう。先のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによると、あらゆる感情のうち、人がもっとも避けようとするのが後悔だそうです。行動経済学を生んだふたりの足跡を追ったマイケル・ルイスの『かくて行動経済学は生まれり』には次のように書かれています。

「人生で大きな決断をするときにどうやって決めているかときかれると、エイモスはよくこう答えた。これを選んだら何をどう後悔するかを思い描いて、一番後悔が少なそうな選択肢を選ぶ。一方ダニエルは後悔を具体的に考える。予約したフライトを変更すればいろいろと都合がいいときでも、変えようとしない。変更して事故にでも巻き込まれたときの後悔を考えるからだ」

人は現状維持を選びがちですが、変化を起こすことでよりハッピーになれる場合もあります。『ヤバい経済学』を書いた経済学者のスティーウ?ン・レウ?ィットはこんな実験をしました。転職すべきか、交際相手と別れるべきかなど、人生の大事な決断で答えを決めかねている人を集め、コインを投げて運命を決めてもらいます。表が出たら変化を選ぶ。裏が出たら現状を維持する。

すると半年後、表が出た人、つまり変化を起こす行動をとった人のほうが、幸福度が高かったのです。「人生を変える決断を前にすると、人は過剰に慎重になるのかもしれない」とレウ?ィットはまとめています。

嫉妬心はその人の価値観を明らかにする

嫉妬

「誰かをうらやましいと思う気持ちは、自分は望んでいるけれどもっていないものを相手がもっていることを意味しています」と話してくれたのは、『人生は「幸せ計画」でうまくいく!』の著者、グレッチェン・ルービンです。

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「法律関係から作家業に転向を考えていたころ、法曹界で活躍する卒業生の記事を母校の冊子で読んで、ふうんと軽い興味をおぼえました。そして別のところで作家として成功を収めている人の話を読んだとき、はげしく嫉妬をおぼえたんです」

嫉妬心はその人の価値観を明らかにします。ただし、自分をごまかさずに、真に正直になった場合。たいていの人が、ねたむ自分を恥だと思うものです。それは、嫉妬が往々にして、相手が自分よりも上だということを暗に意味するから。

ねたみの感情を研究しているターニャ・メノンも指摘していますが、「私が彼女に嫉妬しているのは、この仕事については彼女よりも自分が完全に劣っているからだ」と認めるのは勇気がいります。この先、人がもっているものや能力に羨望をおぼえたら、心のなかであらゆる技を繰り出して何でもないふりをしなくていいのです。うらやましい気持ちを認めてみると、改善点や変えるべきところが見えてくるかもしれません。