また、「私は、自分のことが好きではありません。どちらかと言えば嫌いです」と言う人もいるのだが、自分の存在を否定している人を魅力的に感じる異性は、まずいない。
自慢話が多いのも鼻につくが、卑下したり自己否定したりすることは、お見合いの席ではマイナスだということを覚えておいてほしい。
お見合いは、一生の伴侶を探すための出会い。会社の同僚や知り合いを集めて開催する飲み会や合コンとは類いが違う。
仲間うちの飲み会や合コンなら、多少の下ネタは笑って許されるが、お見合いの席で品位を下げては相手に嫌悪感を与える。
正太郎(49歳、仮名)とお見合いを終えた円香(42歳、仮名)が、「今回は、お断りでお願いします」と、即効で連絡を入れてきた。お断りの理由は、こうだった。
「私の髪を、『艶があってキレイですね』と言ってくださったんです。そこから髪の毛の話になりました。彼が、『昨日、理容室に行ってきました』とおっしゃるので、『お似合いですよ』と褒め返したんですね」
すると……。
「まあ、この髪は、自前なんですけどね。ハゲって遺伝すると言うじゃないですか。親父がツルツルなんですよ。そうなったら大変だと思って、今ハゲをとめる薬を飲んでいるんです。で、このとおりフサフサなんですが、その薬のせいかアッチのほうが弱くなっちゃってね。ワッハッハ~」
お見合い場所は、一流ホテルのラウンジ。円香は、隣で会話している客や横を通っていくウェーターに聞こえないか、ドキドキしたそうだ。目の前の相手をそんな気持ちにさせているとは露知らず、さらにこう畳みかけた。
「実は、親父は糖尿でもあって、そっちの遺伝も心配なんです。糖尿になると、さらにアッチがダメになるって言うじゃないですか。それで今食事には、ものすごく気を遣っているんですよ」
気のおけない男同士の飲み会だったら、盛り上がるネタかもしれない。40代になったら、毛髪や健康状態は誰もが心配になることだ。ましてや婚活をしている男性ならなおさら気になるところだろう。
ただ覚えておいてほしいのは、出会ったばかりの女性の気持ちをつかみたいと思うなら、下ネタや病気ネタは厳禁。誠実な中にも、ロマンチックな会話を心がけることが大事だ。
またもや下ネタで失敗した男性のお話。しかし、彼は笑いを取ろうとしたのではなく、大まじめだったのだから、かえって始末が悪い。
1カ月ほど前に慎一(39歳、仮名)がお見合いをして交際に入り、3回目のデートを終えた里美(39歳、仮名)が、ゲンナリした顔で言った。
「慎一さんとの交際は、終了したいと思います。社会的に立派なお仕事をしているし、年収もしっかりしている。条件は申し分ないのですが、これまで待ち合わせの時間やデート場所の指定がすべて自分中心で、私の都合をまったく聞こうとしませんでした」
さらに3回目のデートのイタリアンレストランで、こんなことを言ったそうだ。
「里美さんは、結婚生活に何をいちばん重視しますか?」
急にふられた質問に何と答えようか迷っていると、慎一が先に口を開いた。
「僕は、夜の夫婦生活を重要視します。毎晩でもいいと思っています。その相性というのは、とても大事だと思うので、結婚を決める前にどこかに旅行に行きませんか?」
まだ手もつないでいない関係なのに、「この人は何を言い出すのだろう」と、里美は目を白黒させてしまった。
「体の相性が大事なのは、私にもわかりますよ。ただ私が再婚で、彼は初婚。3回目のデートでこんなことを言い出すのは、私が再婚だから下に見ているのでしょうか? すぐにそういうことができると思っているのでしょうか?」