会社の中でも、企画・管理などを行うホワイトカラー業務や事務サービス的な仕事の大半は、「デジタル化→オンライン化→リモートワーク」が十分に可能だ。
私自身も3月以降、会議やミーティングはほぼすべてリモートで対応した。私が講師として関与している企業研修の多くは延期になったが、スケジュールの都合上進めざるをえない研修は、リモートで行った。
その体験を通してわかったことがある。それは、「リモートワークに向いている業務、向かない業務」の議論よりも、「リモートワークに向いている人、向かない人」をしっかり見定めることが重要だということだ。
問題は、「業務」ではなく「人」だ。しっかりと自己管理ができ、スーパーバイズ(監督・指導)なしに、自己完結的に業務を進めることができる技量と経験を持つ人であれば、リモートワークの効果は極めて大きい。
しかし、「自己管理力」が不十分で、スーパーバイズが必要な人は、リモートワークによってかえって生産性が下がるだろう。スーパーバイズが不十分で、業務上のミスやトラブルが発生すれば、かえって個人や全体の生産性を毀損させてしまうリスクもある。
つまり、リモートワークを一律に考えるのではなく、「個の経験値」と「自己管理力」をしっかり見定めたうえで、「リモートワークの位置づけと運用」を考える必要があるのだ。
では、リモートワークに「向く人」と「向かない人」の分岐点とはどのようなものなのだろうか。
リモートワークに「向く人」と「向かない人」1つ目の分岐点は「『自己管理』がしっかりとできるかどうか」である。
リモートワークとは、単に働く「場所」が変わることではない。仕事の「管理の仕方」が根本的に変わるのである。
オフィスで働くのであれば、上司(管理職)が目を光らせ、仕事の進捗度合いや業務品質をチェックする。しかし、リモートワークにおける「ボス」はあくまでも自分自身である。自分で「仕事を設計」し、自分で「管理する」のが基本である。
リモートワークによって働き方の「自由度」は高まるが、だからといって自由気ままに仕事をしたのでは、生産性も品質も高まらない。
リモートワークで成果を出すためには「規律」が必要である。例えば、「規則正しい生活を心がける」「『報連相』(報告・連絡・相談)をこまめに行う」「業務日誌をつける(何をしていたのかを記録する)」などだ。