重視しているのは、配達員への報酬やプロモーション費用を含めた、配達当たりの利益率。配達関連コストは、マーケットによって大きく異なる。とくに日本は配達員の獲得コストが他国より圧倒的に高い。日本は失業率が低いし、移民のように今すぐ仕事が欲しい人たちの数も限られている。そうするとフレキシブルな働き方を訴求することになるので、配達員のコスト体系が他国とはまったく異なってくる。
――手数料率を下げることは考えていない?
そこは何とも。
配達コストを下げるうまい方法が見つかってレストランにリターンを返せるといった理由がついたら、配達当たり利益率を見ながら手数料率を下げる可能性はある。競合など誰かが下げたからという理由で手数料率を下げることはあまり考えていない。
ウーバーイーツだから提供できる(注文の)ボリュームがあるし、ウーバーイーツが提供できる価値は間違いなくあるので、1~2ポイントの手数料率の差に本当に意味があるのかは慎重に見ていく。後から参入している競合も私たちと同じような料率で来るのは、ビジネスとして成り立たないと元も子もないところがあるからだ。
――マクドナルドのように自社で配達機能を持つチェーンも数多くあります。ウーバーイーツなどに支払う手数料を抑えるために、配達の自前化が進むことも予想されませんか。
特に小さいレストランだと、効率はウーバーイーツのほうがいいと自前配送を辞めたところはある。大手の中でもウーバーイーツに寄せたいというところもあるし、ウーバーイーツには新しい客を連れてきてもらって自社は自社で確固たる配達網を持ちたいという会社だってある。つまり考え方はレストラン次第ということだ。
ただし、ウーバーイーツを利用するほうが、自社で配達網を持つのと比べて圧倒的にメリットが高いと判断し使っていただいているケースが多い。人材の確保が困難な業界なので、出前の要員をつねに1人置けるか、1人辞めた際の穴をどう埋め合わせるかは悩ましい問題だ。
また、自社で配達員を抱える場合、配達員の数を時間に合わせてフレキシブルに増減させることはあまりできない。ピークアワーに合わせて配達員を準備すると、ほかの時間帯では人員が遊んでしまう。