皮肉やあてこすり、叱責、誹謗中傷など、心ない言葉を投げてくる人、誰の周りにも多かれ少なかれいるのではないでしょうか。距離を置きたいけれど、仕事関係や親族、ご近所付き合いなど、どうしても離れられない人もいます。
ほとんどの場合、できることといったら、ただ「ガマンする」だけ。
そして後から思い出して、「なぜあのとき、何も言い返せなかったんだろう…」と、自分を責めてしまうものです。
実は、しがらみに負けて何も言い返せず、言われるがままというのは得策とは言えません。我慢し続けるあなたの行動が、相手を調子づかせ、さらにはあなたの評判を落とす原因になりかねないのです。
相手を完膚なきまでにたたきのめす必要はありません。
大切なのは、「ちょっとだけ反撃」をして自分の身を守ること。
ここでは、人間関係にできるだけ波風を立てないようにしながら、「どのようにして、ちょっとの反撃をするか」についてご紹介しましょう。
◎強い相手に応戦するには、とにかく、ゆっくり話すこと
議論や口論などで勝つには、受け身ではなく、能動的に会話をしていく必要があります。
相手の勢いをいかに抑えて、自分がどんなタイミングでしゃべればいいのか。その点にかかっていると言っても過言ではありません。
まず何よりも大切なのは、とにかく「ゆっくりと話すこと」です。
人間は無意識に相手の話のペースに合わせてしまうもの。
とにかく相手の気持ちをゆるめたければ、あなた自身が落ち着くこと。相手のペースに巻き込まれず、穏やかに話してみてください。
とくに、相手が興奮して矢継ぎ早に話しかけてきたときに、あなたが早口で応戦すれば、相手はますますヒートアップしてしまいます。相手を興奮させて、火に油を注ぐようなやり方をしては、勝ち目はないでしょう。
やりとりをしていくうちに、さりげなく相手の攻撃の牙を抜き、上手になだめて話を終わらせてしまうのがベストなんです。
◎あれこれ考えないで、とにかく返す!「反射の戦術」
高圧的な態度の人と接すると頭が真っ白になってしまう。とっさに「うまい切り返し」ができる人はそう多くないでしょう。そういうときには、「反射の戦術」がおすすめです。相手の話を、反射的に「要約して返す」だけ。
たとえば、取引先やお客様から、クレームでいきなり怒鳴りつけられたとしても、勢いにのまれてはいけません。詳細も分からないまま即座に謝罪すれば、負けを認めたも同然です。
また、言葉を選んでいて返答を遅らせてしまえば、勢いづいている相手はさらに強力な攻撃で追い打ちをかけてくる可能性もあります。こんな場合は、とにかく即座に相手にリアクションを返すことが重要です。
しかも、ここで必要なのは、「要約力」のみ。これなら、多少心が動揺していても、何とか対処できるはず。だまりこまずに、まずは相手の一方的な攻撃の流れを止めてください。
「反射の戦術」は、次のような効果も期待できます。
まず、相手の苛立った感情をある程度やわらげられます。「相手の話を要約して返す」という行為は、「話をちゃんと聞いていますよ」「まずは、あなたの話を受け入れますよ」という好意的なメッセージになるのです。
また一旦、相手に言葉を投げ返すことで、「そうだ。私は○○○で困っているのだ」と、相手に冷静に考えさせる効果もあります。客観的に自分の怒りや欲求を見つめ直す機会にもなるのです。