「三日坊主になる人」はやり方が少しズレている

3つの強敵「忘れる・飽きる・頑張る」に勝利し、三日坊主を克服するには?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
出版界で有名な書籍のヒットメーカー・柿内尚文氏。近著『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』では、ヒット商品を生み出すだけでなくあらゆるシーンで活用できる「考える技術」を公開しています。また、思考法だけでなく、それを身につけるための習慣化の方法や「考える練習」についても言及しています。
たとえ役立つ思考法をインプットしても、その思考法を使う習慣をつけなければ意味がありません。そこで、柿内氏が実践する習慣化の方法や、考える練習について聞きました。

習慣化を妨げる、3つの強敵

「考える」ことに限らず、習慣化は人類の長年の課題なのかもしれません。

ダイエットをしたいからやせる習慣を身につけたいけど、ついつい食欲に負けてしまう。勉強したいけど、すぐゲームがしたくなる。家が散らかっていて整理整頓を習慣化できない。誰でもなかなか習慣化できないことがあるはずです。

習慣化には主に「3つの強敵」がいます。

・強敵1:忘れる
・強敵2:飽きる
・強敵3:頑張る

この強敵の存在を意識しておくだけでも、挫折が減り、習慣化を手に入れる近道になるんじゃないでしょうか。

最初の強敵は「忘れる」です。

習慣にしたいと思っていても、それをやること自体を忘れてしまうこと、ありませんか?

「忘れる」を攻略することはなかなか厄介です。僕の場合、いたって単純な方法で「忘れる」に対応しています。

「手帳、ノート、スマホにメモしておく」「習慣化したいことを紙に書き、その紙を目につくところにひたすら貼っておく」「誰か身近な人に公言して、忘れていたら指摘してもらう」などです。とにかく、忘れてしまうことを前提に、行動をするようにしています。

ちなみに、お恥ずかしい話ですが、僕はよく自宅のトイレの電気を消し忘れていました。そこで妻はトイレの中や外に「トイレの電気消す」というメモを貼りつけています(今も)。おかげで、だいぶ消し忘れが減りました。子どもみたいですが、これはけっこう効きます。単純ですが、結局これが一番の近道に思えます。

2番目の敵は「飽きる」です。「面倒になる」ともいえます。

またまたダイエットを例に説明します。あるダイエット法を実践する場合、はじめて最初の1週間くらいは順調に続けられても、そのダイエット法に徐々に飽きてき来ることがあると思います。そして、一度挫折するとそこでダイエット終了。「あー、自分はなんてダメなやつなんだ。食欲に負けてばかりだ」。残るのは挫折感。

でもやせたいという思いは残るので、しばらくすると、次の新しいダイエットにまた挑戦をして、同じことを繰り返してしまう。

そんな強敵にどう挑むか。

「飽きる」にはこう考えて闘うのはどうでしょうか。「飽きたっていい。飽きたら次の方法で挑戦すればいい」と。そう、「飽きること」を前提に臨むわけです。

解説します。ダイエットでいえば、「1週間で飽きそう」を前提に考え、次の1週間はほかのダイエット法に挑戦し、また次の1週間は違う方法に挑戦する。そうやって、やり方を変えていきながらダイエットを継続させていきます。

1週目が食べもの系ダイエットならば、2週目は運動系に、3週目はメンタル系で、4週目はまた食べもの系をやってみる。そうやって飽きないように目先を変えていく。でもダイエットそのものは続いているから、少しずつやせていきます。

そうやって、ダイエットを習慣化させていくのです。

「飽きたら次の方法で挑戦する」

この言葉を覚えておけば、きっと三日坊主はなくなるはずです。