「寝たのに調子がよくない」人に教えたい睡眠法

②休日の寝坊は平日の起床時間+2時間まで

平日は朝6時に起きている人なら、休日は遅くとも8時には起きます。どんなに眠くても起きましょう。その努力は必ず、「快眠体質」と「パフォーマンスの高い人生」を手に入れることにつながります。

たとえ睡眠負債がたまっていなくても、休日に2時間以上の寝坊はしないほうがいいでしょう。「社会的ジェットラグ」を引き起こし、体内時計も狂います。体内時計が狂えばうまく眠れなくなり、睡眠負債をためてしまいます。

大事なことは「休日扱い」しないこと

なお、「起きる」ということは「目覚める」とは違います。目覚めていつまでもベッドの中でもぞもぞしていても、起きたことにはなりません。また、休みの前日も休日も、できる限りいつもと同じ時刻、もしくはいつもより早めにベッドに向かってください。

大事なのは休日を特別扱いしないことです。仕事を忘れて楽しく過ごすことは大事ですが、睡眠については「例外」はつくらないほうが、かえって体がラクになり、翌日、翌週をよりラクに、より高いパフォーマンスで過ごすことができます。

③昼寝をうまく利用する

昼寝については、上手に利用することで睡眠負債の返済スピードが上がります。平日には12~15時までの間に15~20分。55歳以上は30分まで。休日には12~15時までの間に最長1時間半まで。このルールを守って、積極的に昼寝をしましょう。

もちろん平日には、無理に昼寝をする必要はありませんが、「ちょっと疲れたな」というときに取り入れると脳がリフレッシュして頭がスッキリし、午後のパフォーマンスがグンと上がります。

週末の昼寝は睡眠負債返済のために大切ですが、くれぐれも「1時間半を超えない」こと。昼寝には夜の睡眠とは違った心地よさがあるため、長く眠ってしまいがちです。しかし、それによってせっかく整いつつある体内時計が乱れます。

ちゃんと目覚ましをかけて、決めた時間に起きましょう。

これらの方法について、①~③まで、すべて同時にスタートさせるのが難しい場合は、できることから始めましょう。また、どうしても実行できない日もあるでしょう。

「今日も先週より30分早く寝よう」と思っていたのが、突発的な事案によって「2時間も遅くなってしまった」ということもあるかもしれません。でもそこで絶望して投げ出してしまったら、せっかくの努力が水の泡。そういうときは、先週より30分早く寝る日をもう1~2日増やして、帳尻を合わせます。とにかく淡々と続けていきましょう。

目的は「睡眠負債を返済」すること

私たち日本人は私も含めて生真面目な人が多いので、1日や2日ルールを守れなかっただけで「やっぱりできなかった」「こんなの初めからできるはずがないんだ」などと、挫折してしまうことも多いと思うんです。でも、よく考えてみてください。目的はルールを厳守することではなく、睡眠負債を返済することにあります。

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だから、ルールを守れなかった日に「ゲームオーバー」してしまうのではなく、自分をなだめて、おだてて、なんとか続けること。言ってみれば、「生きること」と同じです。

それに邪魔が入ったり、気分が乗らなかったりするときがあってもブレずに目標を達成できるのは、能力の高い大人の証しだと思います。あなたがプレーすべきは「今週は8時間眠る」といったルールを厳守するゲームではなく、「睡眠負債を返済する」というゲームのほうです。

睡眠負債は、あなたがあなた自身に課したものです。踏み倒して逃げ切ることはできません。免疫力を高めるためにも、本来自分がもっている力を最大限発揮するためにも、もちろん体調のいい自分で気分よく毎日を過ごすためにも……睡眠負債を返済するメリットはたくさんありすぎて書ききれませんが、とにかく一刻も早く返済してしまいましょう。