受験失敗でも「心が折れにくい子」の本質的要因

失敗や間違いに対する免疫力を上げる2つのステップ

【ステップ1】親がまず伸びる子のような反応をする習慣をつけていく

子どもがこのような反応ができるようになる前に、親が日常の些細な間違いや失敗をしたときに、「あれ、なぜできないんだろう?」「あれ、どうして間違えたんだろう?」と軽い感じで、口に出します。その後、原因がわかったら「あ、そうか、こうすればいいんだ」とまた独り言のように口で言ってしまうのです。

親が最初にやることで、子どもは刷り込まれていきます。些細なことで行う理由は、大きな失敗や間違いであると、軽い感じではできなくなってしまうからです。

【ステップ2】子どもに失敗や間違いがいかに学びなのかを伝える

次に、子どもには、失敗や間違いを“量産するほうがよい”ことを教えていきます。「失敗してもいいんだよ、直せば」とか「失敗は成功のもとだよ」という声かけがありますが、この言葉を聞いた側は、この言葉の意味を理解するのではなく、慰めとしてしか受け取れない場合もあるのです。そのような体裁のよく、耳障りのいい言葉よりは、もっとインパクトのあるメッセージでないと、考え方というのは変わらないのです。

その言葉とは「失敗や間違いを量産しよう」という言葉です。もちろん、わざと失敗、間違いをすることを推奨しているのではありません。次の問いとともに子どもにその理由を話してあげるのです。

「10問の練習問題を解いて、8問正解の子と2問しか正解できない子がいたとき、どちらの子のほうが学びの量が多いと思う? 練習だから、その後、間違い問題を直していくよね。8問正解の子は2問分だけ直し、2問正解の子は8問分直すね。じゃ、どちらの子のほうが学びの量多い?」

「学びの量」が多いのか少ないのか、ここが最大の焦点なのです。しかし、表面的には間違いが多いことは悪いことのように見えますし、大人たちもそう思っている節があります。本番のテストでは間違いが少ないほうがいいですが、練習段階は「学びの量」が多いほうがいいのです。そのためには、失敗や間違いがどうしても“必要”なのです。

しかし、この話を子どもに1回、2回しても、変わりません。それだけ、これまでの生活で間違い、失敗は悪いことと刷り込まれている可能性があるからです。筆者の経験では、変わるまで1番時間がかかった子で、毎週この話をその子にして6カ月もかかりました。それぐらい人は変わりにくいものなのです。

もともと学問とは、失敗が当たり前

変わるとどのようになるかといえば、失敗することや間違えることを恐れるのではなく、「新しいことを知ることの喜び」の姿勢に変わっていきます。

例えば、これまで質問されても「わかりません」と答えていた子が、堂々と答えるようになったり、間違いが多くても前向きに間違い問題に取り組むようになります。明らかに、失敗、間違いに対する考え方が変わったのです。つまり「失敗・間違いへの免疫力」が高まったということです。

ある意味、勉強とはこのような心の習慣を作るためにやっているともいえます。もともと学問とは、失敗が当たり前で、それを何度も追求していく過程で、新たな発見があり、学ぶことで発展してきました。ということは、いちいち、目先の問題ができないことで凹んでいるというのは、それこそ間違っているわけです。

「でも、失敗や間違いは嫌なものですよね」という人もいます。嫌であるかどうかという問題ではなく、それを学びと捉えるかどうかという問題なのです。

ぜひ、この機会に、親も子どもも、失敗や間違いに対する免疫力を高めていきましょう。