もう一つの方向性は、BRICS諸国と、グローバル・サウス諸国の取り込み競争をするということだ。米国が国際紛争解決への関与意思を減退させる中で、その責任を同盟国間で分担しなければならず、その場合に予想される関係国からの非難に強靭になるために、解決策に対する国際社会の支持を増やしていかなければならない。
より多くの友達を作ることが必要で、その対象は、「グローバル・サウス」諸国であり、その中で、今後の影響力伸長が予想される国に対して優先的に関与していくことが重要だろう。
先進国にはこのような努力を主導できる力とブランドのある国がBRICS諸国に比べれば多く存在しており、一日の長があるはずだ。まずは、そのような国々の間で、関与対象国の選択と集中のための十分な調整を行う必要がある。誰が優先国であり、その国に何を期待し、その実現のためにどのような支援を行う用意があるのかの調整だ。
そのような調整をする既存の場として最も適当なのは、G7だろう。なぜなら、平和の弧を構成する、北米諸国、欧州諸国と日本を含むアジアの民主主義国の全てをカバーしている場だからだ。
G7は以上のような「調整」を行うだけでなく、グローバル・サウス諸国を取り込む舞台でもある。G7サミットでは、毎回の議長国がアウトリーチ国を選択しているが、対象は各議長国の関心により毎回異なっている。これを組織的で一貫したものにしてはどうか。
実際、広島G7と、プーリアG7で招かれたアウトリーチ国の中で、インドとブラジルは共通している。常にアウトリーチする国を創設し、それをPOP(Permanent Outreach Partner)と呼んではどうか。その対象国は、インド、ブラジル、インドネシアと東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国、南アフリカとアフリカ連合(AU)議長国、サウジアラビアとトルコ、そして、韓国と豪州(POP10)といったところではないだろうか。
実は、韓国はG7メンバーになることを希望しているが、その問題は、韓国のみで線が引けないことで、いったん韓国に門戸を開けば、容易にG15程度になり、G7の強みである同質性と突破力が失われることだ。その代わりに、あくまでアウトリーチの対象との位置づけで韓国を入れていくのは、一つの解決策だろう。