【問われるバイデンと岸田の外交】インド太平洋というレガシー、日本でも正しい評価を

2024.09.04 Wedge ONLINE

 ブリンケン国務長官、オースチン国防長官、サリバン安全保障補佐官が連名で、2024年8月5日付のワシントン・ポスト紙に寄稿し、バイデンのインド太平洋外交は多くのことを達成し、バイデン政権の最も重要なレガシーだと述べている。

米国のバイデン大統領(左)と岸田文雄首相。ともに国のリーダーを退く2人の外交の成果とは(Andrew Harnik /gettyimages)

 米国にとり、インド太平洋ほど重要な地域はない。しかし、この地域での米国の地位は、バイデンの大統領就任時には数十年振りの低さで、同盟国やパートナーは、米国が信頼できる友でなくなったことを恐れていた。中国は、益々攻撃的になり、米国が内向きになったことを利用して、自国に有利で米国の利益に敵対する世界観を押し進めていた。

 そこでバイデンは、我々にこの地域に対するアプローチを抜本的に変えるよう指示した。その多大な成果は、バイデンとハリスの外交戦略の中で、最も重要でありながら、ほとんど知られていない物語の一つだ。

 第一に、従来の「ハブ・アンド・スポーク」の外交モデルを統合し、相互に関連したネットワークに発展させた。我々は、豪英米の間でAUKUSを立ち上げた。

 バイデンは、歴史的に難しい関係にある日韓を集め、キャンプ・デービッドで三国首脳会議を開催し、三国の間で前例のない防衛と経済協力を促進した。日比を交えた初の首脳会議を開催し、条約に基づく同盟国との新たな三国間パートナーシップを築いた。

 我々は、豪印日米からなる「クアッド」を強化した。インド太平洋経済枠組み(IPEF)を創設し、安全なサプライチェーンの構築や重要技術の保護等現代の経済的課題に対応できるようにした。東南アジア諸国連合(ASEAN)とPIF(太平洋諸島フォーラム)という二つの重要な地域機構と初めての首脳会議を米国で開催した。

 第二に、我々は同盟国等と緊密に協力し、共通の課題に共に立ち向かった。これらは我々の力を強化し、我々の力を発揮させる。今日、それはインド太平洋地域で顕著だ。

 例えば、日本は防衛につき歴史的な意味合いを持つ投資を行い、韓国は東南アジアへの投資を拡大する新戦略を採用した。豪州は、太平洋諸国が気候変動や中国からの経済的圧力に対してより強靭になるために、新たな資源を投入している。フィリピンは軍事力を近代化し、南シナ海での中国の高圧的行動に立ち向かう能力を高めている。米印は、半導体、クリーンエネルギーなど、未来を形作る分野で共に投資を行っている。

 先月、米国は日本における米軍の指揮統制を近代化する計画を発表した。これは、日米軍事関係の最大の進化である。

 第三に、バイデンはインド太平洋地域と欧州の同盟国間の架け橋を築いた。日本や他のアジアのパートナーは、ロシアの侵略につきウクライナを強力に支援している。欧州は、プーチンを支援して国際秩序を損なう中国に対して団結して立ち上がっている。

 我々は、同盟国やパートナーと協力して、北朝鮮の兵器開発に対抗し、海洋における中国の危険な瀬戸際政策に共に反撃している。我々と近隣諸国はより安全で強くなった。

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中国が見直した対豪関係

 この記事は、バイデン外交の最大のレガシーがインド太平洋外交だとして、三点を挙げる。第一は、従来の「ハブ・アンド・スポーク」の外交モデルを統合し、相互に関連したネットワークに発展させたこと(AUKUS、日米韓首脳会議、米日比首脳会議、クワッド、IPEF、米ASEAN首脳会議、米PIF首脳会議に言及)。第二は、「同盟国やパートナーと緊密に協力し、共通の課題に共に立ち向かった」こと(日米安保強化、韓国の貢献、豪州や比、インドの役割、日米指揮統制の近代化等に言及)。第三は、「インド太平洋地域と欧州の同盟国間の架け橋を築いた」こと(日本等のウクライナ支援、欧州の対中抑制等)。