――それはまさに、かつて野村克也氏が提唱した「ID野球」を、改めてチームに浸透させていくという意味合いでしょうか?
髙津 野村監督が行った長時間のミーティングをやるのかどうかは別として、野村さんが考えていたようなことを教えていかないといけないとは思っています。例えばバッターの例で言えば、絶対にストレートは投げてこない場面でストレートを待っていたり、その反対に初球のど真ん中のストレートを簡単に見逃してしまったり、失投に手が出ず、逆にボール球を振ってしまう、そんなことが多すぎました。だから、もっともっと相手バッテリー心理を知る必要がある。「なぜ、このボールを待つのか?」「なぜ、このボールを打つのか?」という根拠を、もっともっと求めたいと思っています。
――いわゆる座学で、そうした指導を徹底していくことも重要だ、と。
髙津 座学で指導することもあるでしょうし、我々の時代とは違って今はすぐに映像で確認できる時代ですから、具体的なシーンを見せたり、若い選手には(山田)哲人やムネ(村上宗隆)の事例を話したりしながら説明していきたいとは思っています。
――特に若手選手については、もっともっと状況に応じたバッティングが求められますね。
髙津 「ゲッツーになってもいいから、ここは打て」というサインを出して、実際にゲッツーになることは、あくまでも結果だから、それは構わないんです。でも、問題なのは「何となく見逃してしまった」とか、「何となく振ってしまった」というケースを、いかに少なくしていくかということです。「何をしたかったのか?」「どんな意図があったのか?」ということをもっと求めていくつもりです。
――「そこに根拠はあるのか?」とは、常に野村監督が選手たちに求めていたことでもありました。
髙津 僕からしたら、今シーズンは「どうして振らないんだ?」と思うケースがたくさんありました。その点はぜひ、なくしていきたいと思っています。