2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――今シーズンも残りわずかとなりました。まだ全日程は終了していませんが、球団史上初の3連覇を目指したものの、優勝もクライマックスシリーズ(CS)進出もなりませんでした。現在の率直な心境を教えてください。
髙津 優勝できなかったこと、CS進出できなかったことは、率直に言って「悔しい」のひと言です。ありきたりかもしれないけど、「悔しい」としか言えないです。「こんなものじゃない」「もうちょっとできる」と思いながら戦っていたけど、自分の思い描く理想にはまったく届かなかった。そんな思いです。
――監督1年目となった2020年シーズンは最下位に終わりました。このときも「やりたいことはあったけれど、思い通りにできなかった」と話していました。監督1年目の悔しさと、リーグ2連覇を経た今年の悔しさに、何か違いはありますか?
髙津 表現は難しいですけど、1年目については「自分たちはこの程度なのか」という思いもあったし、同時に「まだまだやれるぞ」という気持ちもありました。今年に関して言えば「ここまでは成長している」「ここまではもうすでにできている」と思っていたことが、実はまったくできていなかった。こちらが勝手に、そう思い込んでしまっていた。そんな反省があります。
――監督に就任した際には、「前年最下位チームの立て直し」が求められていました。一方、今年は「球団史上初の3連覇」という高い目標がありました。今シーズンについて言えば、選手たちに求めるもの、期待することは違ったのでしょうか?
髙津 今年についていえば、「シーズンを通じて、選手たちをもっと成長させてあげたかった」という思いがとても強いです。プロ野球選手である以上、ベテランであっても、外国人であっても、もちろん若手選手であっても、常に「野球がうまくなりたい」と思っていてほしいし、僕たちも「野球をうまくなってほしい」と思っています。そういう意味では、技術はもちろんですけど、野球の考え方についても、もっともっと成長させてあげたかったと思います。今季は多くの反省点が見えてきました。
――「野球の考え方」とは、具体的にどういうことですか?
髙津 バッターなら相手バッテリーの考え方、ピッチャーなら相手バッターの心理など、「この場面では、相手はどんなことを考えているのだろう?」といったことも、もう少し指導する必要があるなと感じました。