2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――8月も、いよいよ終わります。残り30試合となり、ペナントレースも終盤を迎えました。一昨年、昨年は優勝争いの渦中にいましたが、今年は5位と苦戦が続きます。首位・阪神タイガースは着々とマジックを減らしていますが、どのような心境でペナントレースに臨んでいますか?
髙津 うーん、難しいな、どう答えたらいいのかな……。タイガースに関しては、現状で6勝12敗1分と大きく負け越しているので、やっぱり「強いな」という思いで戦ってきました。岡田彰布監督に代わって野球のスタイルも変わったし、「やっぱり野球は投手だな」という思いも感じています。
――上位チームが優勝争いを繰り広げている中で、5位チームができることは「目の前の試合を一つ一つ全力で戦っていく」ということになるのでしょうか?
髙津 もちろん、そうですね。その姿勢は、たとえ順位が確定した後であっても、どんな状況であっても変わらないことです。チームとしては勝利にこだわって、打者ならば「いいヒットを打とう」、投手ならば「いいピッチングをしよう」という思いは誰もが持っていると思います。僕たち首脳陣としては、「どうすれば勝ちに結びつくのか?」を常に考える。それは変わりません。
――首位チームとのゲーム差がかなり開いている以上、「首位奪回」という大目標よりは、現実的な戦い方を目指すことになるのでしょうか?
髙津 心のどこかでは、常に「絶対に優勝したい」という思いはあります。ただ、現状が5位である以上、「まずは4位を」となるし、4位になれば「次は3位を目指す」というのが当然のことだと思います。今は、「一つでも多く勝つ」という思いを持って、少しずつ借金を減らしていくということに全力を傾けたいと思います。
――優勝争いをしているときと、そうでないときとでは、選手起用、作戦において、何か変化はあるものなのでしょうか?
髙津 誤解を招くような言い方になるかもしれないですけど、去年のように首位争いを演じている状況であれば、もっといろいろな作戦を考えたかもしれません。言い方は難しいけど、もちろん今は作戦を考えていないという意味ではありません。でも、今までまだ試していない作戦もあるけど、「今はそれを使う時ではないのではないか?」という思いもあります。そういう意味では、「現実的な戦い方」になるとは思います。